新聞のラテ欄を書いていたころの話~女子の生き様~
専門学校を卒業して、新聞のラジオ・テレビ欄のライターをしていた時の話である。
そのころ私は料理番組を担当していた。4ページにわたり、びっしりと書かれたレシピをたった4行にまとめろ、みたいな作業を毎日のようにしていた。
レシピなので料理が出来上がるまで書かないと成立しない。どこを端折るか、どこを簡単な一言でまとめるか、いちいち頭を悩ませていた。
野菜の切り方一つだって、いちょう切りやら、短冊切りやらいろいろあるのに、それを一言でまとめろってどーすりゃいいんだよ!っとツッコミを入れつつ、そういう時は、野菜は食べやすく切ってとまとめていた。
珍しい調味料を使った料理が出てくると、デスク(編集長)が新聞社に突っ込まれると困るので、それがどんな調味料かどうか調べてこいと言われる。それで、資料室に行ってみたら、ろくな資料がおいていない。
そこで、仕方がないのでテレビ局に電話して、「○○っていう調味料は一体どんな調味料なのですか?」と聞いたら、「漢方薬の一種です。」というので、「どんな漢方薬の一種なんですか?」としつこく食い下がったら、「だから、漢方薬の一種です。」と答えを押し切られたものだ。よく知りもしないで、番組作ってやがるなと私は思った。
今では、インターネットで調べて一発で分かるが、そのころはまだネット環境がなかった時代だった。
ある料理番組が一つの番組でなく、違う番組に吸収合併され、コーナー化したときは、放送時間が変更したので、それを確認してこいとまたデスクに言われた。
それで、確認の電話をテレビ局にかけたとき、テレビ局の広報のおじさんがまったくその質問に答えず、「私どもは視聴者のみなさまに愛される番組づくりを・・・・」とえんえんと違う話をされ、結局、はっきりしないので、「あなたじゃ話にならないから、スタッフの方を呼んでください」と言ったら、さらにおじさんが焦ってわけのわからないことを言い出すので、私は「これは上からここで止めて置けと言われているな。全く取り次ぐ気配がない」と思った。
私はさらに怒りを込めて詰め寄ろうとしたが、おじさんをいじめても仕方がないのでいったん電話を切った。
そして、番組から送られてきた資料を見ながら考えていると、だいたいの始まる時間はかかれていたので、「午後7時15分頃」、「頃」とつけてごまかしてデスクに提出した。
そうしたら、何も言われなかった。
そんなこんなで仕事をしていたのだが、もちろん失敗もあり、コチュジャンとかトウバンジャン、テンメンジャン、XOジャンとか、とにかくジャンがつく調味料はすべて韓国の調味料だと書いてしまったら、コチュジャンは韓国の調味料で、トウバンジャン、テンメンジャン、XOジャンは中国の調味料だった。それが判明したのは掲載される前だったので、その記事はボツにされた。
今、再び書くことを仕事にしている。あの頃と違い、ネット社会になった昨今では、誰でも簡単に大勢の人に情報が発信できる世の中になった。あの頃は、間違った情報を紙面に掲載したら始末書をかかねばならなかった。ネットに掲載される記事は後で書き換えることが簡単にできるので、始末書をかかされることはない。しかし、だからこそ、間違った情報を流布しないよう、正確さにはこだわって書いているつもりである。フェイクニュースなどが簡単に流せるようになり、情報の受け取る側も注意が必要な世の中になった。
なにかと情報過多な世の中になったが、だからこそ、情報を発信する方も今も昔も変わらずに誠実さと正確さを大事にしていきたいものである。
↓こちらでも記事を書いています。興味のある方は読んでみてください。
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