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〔87〕爾應法師の摩邇説法 プリゴジン兵諫の真相 その2 6/29

〔87〕爾應法師の「摩邇説法」 プリゴジン兵諫の真相 その2
 平成3(1991)年に新生ウクライナの領土とされた地域中の「ドニエプル川左岸(南東部)地区」が、実は「ロシア國體天領たることは落合莞爾が〔86〕で説いた通りです。
 國體奉公衆としてロシア政体に送りこまれたウラジミル・プーチンは、2000(平成12)年にロシア政体を掌握するや、ウクライナからロシア天領の奪還を企てたのは言うまでもなく國體任務を果たすためですが、國體任務の全体は「ウクライナのNATO参加を妨げること」です。
 ソ連邦を15の共和国に解体した時、NATOとロシア連邦の間の緩衝国家として創られたのが新生ウクライナですが、その後アメリカ一極体制が進行する過程で対米従属国家群となったNATOにウクライナを引っ張りこもうとする動きが活発化します。
 本来緩衝国家のはずのウクライナがNATO化した暁には、敵と直接国境を接することになるロシア連邦は西側に対する被害妄想に堪えられませんが、プーチンにとってそれにもまして放置できないのは、クリミア半島とその周囲の國體天領が敵陣NATOに取り込まれてしまうことです。
 プーチンが2014(平成26)年に「ウクライナ領内のロシア語話者の保護」を名分としてウクライナに軍事介入したのは、このような事情に基づくものです。
 これをアメリカおよびNATO諸国は「国際法違反」と非難したのは当然ですが、日本も同調したのは「アメリカの属国だから」という以外に理由はありません。こんな時こそ、等分とまでは謂わないが七分三分くらいの割合で、米露双方と付き合うのが日本の採るべき立場と愚僧は考えました。その方がアメリカからの独立の早道になるからです。
 ちなみに、この時にオリガルヒの一人エフゲニー・ブリゴジンが設立したワグネルは、非合法的な民間軍事会社なのに「プーチンの私兵」と呼ばれて活動を許されたのは、政体陸軍の指揮命令系統とは無関係に、プーチン大統領の意だけを体して活動するからです。
 つまり、ロシアには政体官軍と國體傭兵ワグネルが並立しているわけですが、後者とてボランティアからほど遠く、人件費などで1450億円、兵站費用として1350億円に相当する国費が支払われていたことをプーチンが発表したのは、私兵などといわれのない誹謗をワグネルに蒙らせないためです。
 武器弾薬を官軍から支給されたワグネル、一種の官兵として正規軍のライヴァルになったワグネルが前線で軍功を挙げつつあった時、弾薬の供給を控えるという官僚的方式を用いてワグネルの功績を毀損したのが国防大臣ショイグの一派です。

 ワグネルが解放囚人を兵員に加えたのは、この手の人材は正規軍として使用しがたいのが理由でしょう。薩摩西郷ドンの私学校に集まった中村半次郎(桐野利明)傘下の若者ニセにもそのような人材が多かったのですが、幕末日本の社会的ストレスを解消するための文久テロリズムを起す前に、事後のテロ制圧の手段として、予め清河八郎に編成させた「新徴組」も前科持ちの集まりでした。
 この手の人材は、紀律を第一とする官兵には適さず、ことに官僚主義を伝統とするロシア陸軍では完全な異分子になります。前線で身を挺して活動するワグネルが要求する弾薬を出し惜しみしたのが陸軍中央のショイグ国防相とグラシモフ参謀総長です。
 このおかげで多数の部下が戦死に至ったことで、怒りに燃えるプリゴジンに対し、「ワグネル軍は前線から撤退して7月1日付けで正規軍の隷下に入るべし」との命令がプーチンから下りました。
 実に「狡兎死して走狗煮らる」は世の習いですが、これを唯々諾々と呑むようでは、元囚人の部下たちが軍務官僚によって虐待を受けるのは必定ならむ、と考えるプリゴジンは、この上は盟友プーチンに窮状を訴え、「わが身もろともワグネルのすべてを預ける」ことを決めたのでモスクワに向けて進軍を開始しました。
 道路に溢れる民衆も進軍を妨げるどころか、プリコジンにスマホを以笑顔を向け、大衆も歓声を挙げてワグネルを励ます始末です。プーチンの指令を受けたプリコジンはモスクワ前方200キロの地点で進軍を止め、盟友からの指示を待っていました。
 すでに、ことの成り行きを察していたプーチンが「国家に対する重大な反乱」と指摘したのは体面からで、すぐに、前線における軍功によりワグナーを宥免することを発表しました。
 たとい偽装反乱であっても、ヤマト武士ならば割腹して事態に決着をつける覚悟が最初からできておりますが、プリコジンの心境てはいかがでしょうか。それはともかく、ここは筋書き通り、仲裁者があらわれて大団円となります。以上は落合固有の任侠的思考ですが、おそらく正解でしょう。

 さて、これだけの手打ちとなると仲裁人としてしかるべき大物が必要です。その大物とは誰か。
 そもそも事の起こりは本ロシア(ロシア)と赤ロシア(ウクライナ)のいざこざで、その仲介を図っていたのが白ロシア(ベルルーシ)の大統領アレクサンドル・ルカシェンコ閣下です。ここから後は、現実の展開をテレビなどで見てください。

 爾應のこれまでの解説を読んだ善男善女は、あとはテレビ解説者の垂れ流す言に流されずに、ひたすら爾應の説を念頭においてテレビを見ておれば、おのずから事態の真相を覚ることができます。

 さて前回の法話のあと、多くの善男善女から御喜捨を頂戴いたしましたので、早速マイタレイヤ様に報告いたしました。夏安居は始まったばかりですので、引き続き浄財の御喜捨を願います。
  6月29日  南光院長臈爾應法師

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