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〔その8〕陰陽五行に関する狸の私見 2/5

 〔その8〕陰陽五行に関する白頭狸の見解 
 さて、白頭狸が先日来予告してきた「陰陽五行十二運に関する稽古」を今から始めます。その前に「陰陽五行十二運」の概念について約言しておきます。
 この語は「四柱推命」などの名称で巷間の書肆に溢れており、たいていの読者はその一冊ぐらい手に取られたこともあろうかと存じますので、詳細はそちらに委ねることとし、ここでは白頭狸が考える「陰陽五行」についてお話します。

 陰陽思想とは、あらゆる事物を「単一独立」でなく「陰陽一対」とみる観点で、二世紀のインドに出て大乗佛教中観派の祖となったナーガ・リュージュ(龍樹菩薩)が説いた中観思想の根幹をなすものですが、実は地球文明の初源から存在する二元思想で、太古のミトラ思想から発してゾロアスター教やグノーシス派に伝わったと観るべきものです。
ともかく、この世のすべての物事は「陰と陽」「冷と温」「乾と湿」「短と長」「軽と重」「止と動」「無と有」「従と主」「因と果」「客体と主体」「機能・性質と実体・本体」のごとく、「併せて一対となる事象・概念」に依存し、相互に限定し合う形で成り立っており、「一方が欠けると片方も成り立たない」とする観点です。
 この世の事物は、本来は「空」(無一物)であるが、「縁」により「空」から対発生した「陰」と「陽」が相互依存しながら存在するも、やがては対消滅して「空」に戻るということです。白頭狸は、これを会得してから洞察力が飛躍的に高まりました。
 次に、五行とはこの宇宙を構成する「木火土金水」の五つの要素(エレメント)のことです。古代ギリシアの思想家は、世界を構成する四大元素として「火風水土」を挙げましたが、中でもアリストテレスは四大元素のそれぞれは「熱・冷」と「乾・湿」の組み合わせから生じたもの、と説きました。 
 すなわち、熱と乾の組み合わせが火(という元素)を生じ、熱と湿は風、冷と乾は土、冷と湿が水を生じると観るのです。これはやはり、二元思想からきていますな。

 古代インドにも四大思想が生まれ、これについて学者や論者は色々とギリシャ思想との違いを述べますが、我々からすれば所詮似たかよったかですからここでは無視しますが、忘れてならないことは、何しろ数学史上の画期的な観念たる「ゼロ」を発見したインド人ですから、具体的な事物・観念を整理して構成した四大元素に、全く何もない「虚」の観念を「空」という要素とみなして四大に加え、五大にしたのです。
 古代シナで成立した漢文明は狸の観るところ、西方すなわち中央アジアから移ってきたものです。三皇五帝の一人舜は西域ウズベキスタンの嬀水(アムダリア川)から河南省に移ってきた一族ですが、わたしこと井口莞爾と遠祖を同じくする南方熊楠(海南市井田の神別橘姓井口氏から宮処流向畑家に潜入との國體秘事伝授あり)は、渡ったばかりの英国で科学雑誌に投稿した「東洋の星座」と題する論文で、古代中国の星座の名に水辺に由来するものがないことから、周漢族の起源を西方と断じています。
 これなど洞察の典型的な例ですから、南方熊楠に遠縁のわたしは甚だ嬉しくなりましたが、「熊」では畏れ多く「狸楠」や「狸仙」と自称していましたが、note落合莞爾の発信を機に「白頭狸」に変えました。
 ここまでは従来通りの投銭興行ですが、続く「十二運説は、巷間推命家との軋轢を未然に避けるため、有料口座といたします。

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白頭狸
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