國體史観と雑史観の絶対的差異について 12/6
〔101〕國體史観とその他の雑史観との絶対的差異について
前回で〔100〕に達しました。彌勒如来・毘沙門天・弁天・文殊菩薩に対し多大なる喜捨に御喜捨を頂き、加えて大塔宮護良親王をお祀りする加太春日神社の大屋根修復の勧進に応じて下された大枚の御寄進を感謝しつつ、白頭狸はここで一服させていただき、白頭狸の拠る國體史観とその他の雑史観との絶対的差異について、雑感を述べることとします。
インターネットの世界にnoteなるコラム(と謂うべきか知らず)ができたことを知ったのは本年の五月ころであったと思う。折から執筆中の「大杉栄と甘粕正彦は対発生した(仮題)」が完成に近づき、次回は何に取り掛かろうかと考えていたところ、嘗ての門人鍋島くんが独自の見解で落合史観を解釈した文章をnoteで発表しだしたことを告げてきた人がいて、noteに興味を抱きました。
早速試したいと思った白頭狸は、とっかかりとして大室寅助についての解説から始めようとしたのは、鍋島くんの史観(サニワ史観というらしい)が落合説に立ちながら最奥部を訂正する、とうたっていると聞き、鍋島史観が広がる過程で狸の読者が迷うことを恐れたからです。
他人の思想と発言は自由で尊重すべきものと考える狸は、その一方、千載一遇の國體秘史伝授を受けた自分が長い年月をかけて構成した落合流國體史観を他人が独自の観点で弄ぶことを善しとしません。
どうせ人間(いや狸か?)の頭で考える事だから「言論は自由にして自他説は平等」が社会の原則とは思うものの、こと歴史研究においてはいかなる他説にも譲れないのが狸の奉ずる國體史観です。
その理由は、歴史は小説や思想と異なり、ほんらい創作の対象ではないからです。地球上に現存する各民族の歴史はそれぞれの先祖から伝わるとはいうものの、実はその国の王朝を興した国王ないし政体が造ったものです。
その王朝ないし政体が何度も交代して現在に至っていますが、王朝が交代するたびに新王朝の支配を正当化すべく歴史の再構成を行うのが人類通有の現象で、その際に史実が創作されるのは当然のことです。
このゆえに国境を接する各国が唱えるそれぞれの歴史は相互に整合しないのが普通です。一例をあげれば、満洲の古代史を巡り、中華人民共和国と大韓民国が異なる史観を立てて争っています。中華人民共和国が自らの史観を「東北工程」と称するのは、まさに歴史を工作の対象しているからです。これに対して大韓民国は、現在は中共の領土に編入された満洲に在った高句麗国を朝鮮民族の発祥とする朝鮮史観を建てて争っています。
これが歴史界の一般的現象ですが、その中で、他とは全く異なる国と血統が存在します。それがヤマトであり天皇家です。
天皇家は有史以来の「万世一系」で、ただ一つの男系血統(Y染色体)が連綿と続く家系として、太古からの記憶をそのまま伝承し、意図的に保存されて、今日に至っています。
この國體伝承は、代々皇室に仕える舎人たちが口伝として誦唱しながら伝えてきたもので、七世紀ころから文字にされ、その書を今も皇室が秘蔵していると聞いています。
國體伝承の一端が世に顕われたのが和銅五(七一二)年に太安万侶が編纂した『古事記』ですが、発表された内容が当時の政治情勢に応じて事実を改変し、もしくは暗喩したことは容易に想像できます。
また『古事記』の八年後に舎人親王が『日本書紀』を編纂しますが、これは外国向けとして必要な変改を施したものと、狸は聴いています。
右の両書は「記紀」と呼ばれますが、その元となった伝承はもとより、六四五年の「乙未之変」で焼失したとされる『天皇記』と、船惠尺が火中から取り出したとされる『国記』も、國體筋の明言はないものの、どうやら現存しているようです。
ともかく、歴史が創作でなく人類の営みをそのまま伝えるものとすれば、それは万世一系の天皇家に伝わった國體伝授以外にあり得ません。
これに反する内容のものは、いかに史書としての体裁を装うにしても文学的創作品に過ぎません。そのような偽造史書が創作性を隠し歴史的事実として世に流布するのは、歴史を故意に歪曲することが目的です。
現に、わが国においても、「記紀」の百年ほど後に創られた「「先代旧事本紀」が「記紀」と並ぶ「三書」とされ、江戸初期まで「記紀」を凌ぐものとして史学の中心に置かれていました。
さいわい水戸光圀がその偽書性を暴いたことで、以後はモノノベ系史家の他は論じなくなりましたが、敗戦後に駐日米軍の圧力で復活して自虐史観・反日史観の拠り所とされています。
かくのごとき偽造史観が巷に充満していることを、本稿の読者が肝に銘じられることを強く念じるのが白頭狸であります。
近来『日本國史』などと題する創作が幾冊か史書を装って出版されておりますが、狸がそれらを一顧だにしないのは、もしそれ國體伝授の内容と異なるならばすなわち偽史に過ぎず、一致するならば國體伝授が漏洩したか、または落合史観を剽窃したに過ぎざるを以て、わざわざ目を通す必要がないからであります。
読者諸兄姉はどうか白頭狸の真情をご理解され、今後とも本稿をご愛読いただきたく、また残り少ない生命をひたすら本稿に注ぐ白頭狸をあはれと思われるならば一抹のサポートをいただきたくお願いいたします。
追って 町田様 加太春日の御寄進。有難うございます。到着しておりますのでご安心ください。