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No,15 浄土真宗のお盆

 一年で最も仏さまを想い、仏壇に目が向く時期は「お盆」でしょうか。他にはお彼岸?!浄土真宗のお寺としては、そこに秋の報恩講、と入れてもらいたい気持ちもありますが、、、。

 さて、お盆、正式には盂蘭盆会(うらぼんえ)と言います。略して「お盆」。仏説盂蘭盆経(ぶっせつうらぼんきょう)というお経が言葉の元です。盂蘭盆は当て字のようで、古代インド語でウラバンナという言葉。「お供えのご飯を盛る鉢」を意味するようです。
 
 盂蘭盆経を簡単に解説します。お釈迦様の弟子で神通力を持った目連尊者(もくれんそんじゃ)の母親が亡くなります。目連さんはその神通力で母の死後の生まれ先を探します。六道という天・人間・修羅・畜生・餓鬼・地獄を探したところ、餓鬼道で苦しんでいました。救おうとして食べ物を与えても燃え尽き、手立てがありません。そこでお釈迦さまに相談します。お釈迦さまは雨の時期に勉強に集まっている出家者たちへの施しを勧められ、目連さんは実行します。結果、母親が餓鬼道から救われるという内容です。直接母親に与えるのではなく、他者へ施しをすることをお釈迦さまが勧められたことは意義深いです。
 
 この目連さんが施しをした時期に行われる法要が盂蘭盆会で、それがお盆となったわけです。「施餓鬼法要(せがきほうよう)」というのもそれが理由です。ところが、「ご先祖さんが還ってくる」という話にどう結び付いたのかは実は謎です。上の話、よく読むとわかりますが、還ってくるというよりも、目連さんが救いに行った内容です。不思議です。

 ですので、浄土真宗のみ教えを元に少し交通整理をします。ご先祖はお盆に還ってこないのか?還ってきます。しかし、お盆の時だけの期間限定ではありません。お浄土に往生された方は、常に私たちにはたらきかけてくださっている。私の合わせる手に、私の称えるナンマンダブツに現れてくださっている、と頂くんです。
 よく私たちは「あんたが殊勝やから手を合わせてるんやないで、あんたが手を合わせることが出来てるんは、亡くなったおばあちゃんやおじいちゃんが後ろからあんたを抱きかかえて手を添えてくださってるからやで。」と教えられます。

 だから、先達方は歓喜会(かんぎえ)という言い方でお盆を迎えてきました。普段は離れて生活する家族が集まって、再開を喜びながら、仏さまや先祖のご恩に感謝する時期という位置づけです。今年も皆さんで仏さまに手を合わせる時間を、どうぞ持ってください。

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