No.34 悲しさはともに悲しむ者がある時 ぬくもりを覚える (柳宗悦)
表題の言葉は民藝運動の主唱者、柳宗悦「南無阿弥陀仏」より
読み進める中で印象的であった箇所を書いてみました。
この言葉、ここだけ読むと、なんとなく葬儀の場面を思い浮かべるのではないでしょうか。
大切な方との別れの中で、私たち一人一人が経験する悲しみ。同じように悲しむ家族がいることで、私達は少し支えられているように感じたり、友人知人が悼んでくれることで大きなやさしさを頂けるように思えます。
ただ、柳宗悦がこの言葉を書いた文脈は少し意味合いが違います。ともに悲しんでくれる最前線に「阿弥陀仏」という仏さまがいるということをこの言葉の前後で書かれていました。
阿弥陀仏の心の根本である「慈悲」は「他の苦しみ悲しみを、自らの苦しみ悲しみと受け止める心」と言われたりします。私たちの悲しみを誰よりもわかっていてくださり、同じようの悲しんでくださる。そのような阿弥陀様だからこそ、私達は手を合わせ念仏する中で、その光りに摂め取られていることにぬくもりを覚えるということなのでしょう。
大切にしたい言葉だと思います。