図書館本 23冊目 『書くことの不純』角幡 唯介 251P

私自身は、キャンプも山歩きもしないけれど、冒険、探検、狩猟、海、山、南極、北極圏関連の本が好きです。
テレビのドキュメントものでそれらを見るのも好きです。

角幡 唯介さんの本は、図書館で見つける度に読んでます。
この本は、冒険、探検の話ではないですが、角幡さんの本なので借りてみました。


「角幡さんの探検って社会の役に立ってないんじゃないかっていわれませんか?」
という若い記者からの質問が、 自身の "行動" と "それを書くこと" の意味を問うてみるきっかけとなっています。(その探検ものを、喜んで読んでる私には思いつきもしない、ビックリ&ドッキリな質問ですね。)

いろんな作家、探検家、評論家等の、著書や行動をとりあげて考察されていて、とても興味深く読んだのですが、本書の3分の1ほどをを占めている三島由紀夫関連のところは難解でした…

私は『金閣寺』すら読んでなくて、申し訳ないくらいに内容が頭に入ってこないまま、ダーッと読み進んじゃいました。
(三島由紀夫は、中学生時分に友人が貸してくれた『禁色』だけ読んでます…。『禁色』が引き合いに出されてたら「おっ?」と思ったかもしれませんね。いや、『禁色』はないですね、『禁色』は…、え、どんな話だったっけ…)

逆に、ものすごく興味を持ったのは、ポーランドの先鋭的登山家ヴォイテク・クルティカに関連する部分です。

ここに出てくる『アート・オブ・フリーダム』(ベルナデット・マクドナルド 著 )は、クルティカの行動をたどる評伝です。
ここの部分、私はもう、興奮気味で、これ読みたい!早く読みたい!まず買おう!という気持ちで読んでました。(今、とてもソワソワしています…)

他に、”登山家” 栗城 史多(くりき のぶかず)さんについてのところも興味深く読みました。

彼のことを書いた本『デス・ゾーン』(河野 哲・著)は図書館にもあって、何度か「読んでみようかな…」と手に取ったことはあるんですが、副題の”栗城 史多のエベレスト劇場” という言葉にひっかかり「また、今度…」と棚に戻してました。

その『デス・ゾーン』に沿って、栗城さんの行動について語られていますが、やはり、厳しい内容のようですね。

角幡さんによると、この本には「…読んでいて、おそろしく悲しくなるほどの転落…」の軌跡が書かれていて、「この本によって私の見立ては完璧なまでに補強され、強化された。しかし強化されすぎたせいで、彼にたいするネガティブな印象が逆に全部吹き飛んでしまい、読後は、どうしてこんなことになってしまったのか、という不思議なやるせなさしか残らなかったのである。その日の晩は、一人の人生の暗転を思い、それに悶々とし、一睡もできなかった。」(原文から)とあります。

私は、その悶々感のようなものを予感して、借りるのをためらっていたのかもしれません。
けれど、「ネガティブな印象が逆に全部吹き飛んで」しまうとは…
私も結局「どうしてこんなことに…」と悶々するんでしょうが、覚悟を決めて読んでみたいと思いました。

あと、”四十三歳が冒険家の落とし穴的年齢” ”四十三歳を境目に膨張期と減退期にはっきりわけられる” ”死の余白”など、気になる言葉で答えを求めて行きますが、そこで開高 健、三島由紀夫が交互に出てきます。
(私自身は冒険家でも無く、男でもなく、四十三歳を十数年前に越えてます…。四十三歳は男の後厄らしいです。)

開高 健さんの部分は読めるんですが、三島由紀夫が出てくると目がショボショボしてしまって、ただ、ダーッと読んじゃいました。

本書の冒頭で紹介された、記者からの問いへの回答は「あとがき」で述べられていますが、三島由紀夫のくだりを読んだ後の「あとがき」は、とても優しい感じですんなりと読めました。

私はこの『書くことの不純』を書評、本紹介のように読んじゃいましたね。

この本に出てくる、読みたくなった本を最後にメモっときます。
(タイトルとか、読み方とか、すぐ忘れるんですよ。)

『神々の山嶺(いただき)』 夢枕 獏
『デス・ゾーン』 河野 哲(こうの さとし)
『アート・オブ・フリーダム』 ベルナデット・マクドナルド

『金閣寺』 三島 由紀夫








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