図書館本32冊目 『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』ファン・ボルム
図書館本、31冊目の記録からけっこう間があいた気がします。
32冊目になるはずだった本を、読み切れないまま返却し、前から読みたかったこの本があったので、乗り換えました。
その、幻の32冊目の本は、去年も一度借りて読み切れず、返却期限時に「もう一回借りていいですか?」とお願いすることもなく、読み終えられないまま返しました。
3度目はあるのか・・・?(もういいか、って感じでもあります。)
お店屋さんが舞台の小説は色々ありますが、あまり読んでないです。
そういうのはきっと、いろんな事を抱えた心優しき登場人物たちが、その、ほっこりするお店で出会い、適度な距離を置きながらも交流するうちに、互いを認め合い、癒やし癒やされて、自身を肯定できるようになったり、目標を見つけたりして、新しい一歩を踏み出していく、いい感じに心温まるお話なんだろうなと、タイトルから勝手に想像していました。
この本は実際、そういう感じです。
舞台は、バリスタのいる、町の書店です。(ほら、もうほっこり来た)
嫌な感じの人は出てきません。(ちょっと描写される数人を除いて。)
悩み事はあるけれど、みんな優しくて、相手を否定したり、追い詰めたりせず、丸ごと受け入れて、互いに良い影響をあたえ合い、成長していきます。
何か嫌みを言っているように聞こえるかもしれませんが…
ひがんでるようにもとれますが…
何より大切なことは、良き仲間を得ることである、と、登場人物達は納得し、進んでいくのです。
そんな、都合のいいことあるかいっ、いやいや、小説だし…
私だって、こういう話は平和に進んで無事にほっこり終わって欲しい…
けど、みんな、優しすぎない?
だから、小説だってば…
やっぱりちょっと、ひがみ根性が漏れてます…
けれど、要は、
めっちゃ面白い本屋さんやっ!
ここ、めっちゃいいやんっ!
通いたいわっ!
おばさんも混ぜてっ!
これが本音…
読書会、
作家を招いてのトークイベント、
常連客がリーダーになる読書クラブ、
映画評論家を呼んでの映画鑑賞会とトークイベント、
作家が講師になる文章講座、
知り合いの書店主たちが講師役となる、書店開業に興味のある人たちに向けた講演会、
「今月、書店のスタッフたちが読む本」を読んだ人たちとの読書会…
ここのイベント、どれも参加してみたいです。
ここのコーヒーも飲んでみたい…
店長は、町に根を下ろして書店の経営を続けていくためには、まずお客さんを呼ぶこと、と無理をせず、できる範囲でイベントを催したりするほかに、思い切って取り組んでみたのが ”ベストセラー作品の排除”
やりますね…
この物語の中で私が好きな常連客は、店に来ては編み物をしたり瞑想をしたりしているジョンスという女性。
いい感じに常連になっていきます。
文章講座の講師を引き受けてくれた、会社員兼作家のスンウさんは、トークイベントの参加者から「その髪は天然パーマですか」と質問されていて、
そこからずっと私の頭の中のスンウさんは、『サンショウウオの四十九日』で芥川賞を受賞された、朝比奈 秋(あさひな・あき)さんの姿で再現されました。
最後までずっと同じ表情で…(今日の朝刊の広告でも、同じ顔を見かけた。あ、スンウさんだ…)
私も聞いてみたい「その髪天然パーマですか?」
書店や図書館が舞台のお話って、それだけでワクワクしちゃいます。
期待を裏切らない安心感の、ほっこり通勤読書になりました。