「下らない」を寄せ集めてみると名作が誕生してしまった。(”有頂天家族”読書感想文)
名作でした。
書籍を読みながら「何て下らないんだ」「よくもまぁこんな下らない事を次々と思い付くものだ」と散々思いながらも読み進め、いざ読み終えた後の爽やかさと言ったら。
ただ万人にはお薦めしかねる作品ではあります。
京都の地名を知らなければ置いていかれますし、偽電気ブランの説明は意地でもしないし、どうでも良いような日常の描写の連続ですし。(逆に京都で暮らしている、又は暮らしていた人にとっては、作品の情景に自分が入り込んでいる錯覚に陥るかも…)
兎に角下らない。
が、面白い。
この下らない日常の連続が見事としか言う他無く、終盤はうなりました。
詳しくは書きませんが、素晴らしかったです。
また、森見登美彦氏の描くヒロインは本当に魅力的で、それはこの作品でも例外ではなく、彼女達の活躍を見るだけでも森見作品が好きな方には一読の価値があると思います。
但し、下らない。
だからお薦めは出来ない。
けれど素晴らしい。
素晴らしいと思ってしまうのは、やはり森見登美彦ワールドが大好きであるが故のしからしむるところだからであるのだと思います。
(矢三郎、弁天、海星のその後を書いてくれないかな・・・)