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【小説】チャリンチャリン太郎@夏

(チャリンチャリン)
「おーいサトシ、プール行こうぜ」

毎年夏になると小学校の同級生、倫太郎がプールの誘いに家に来る。
倫太郎は変わったやつで、絶対にインターホンを鳴らさず、自転車のベルを鳴らす。
僕は心の中で倫太郎を「チャリンチャリン太郎」と名付けている。
あぁ、今年も夏が始まったか。

「プールは行くけど、インターホン鳴らしてくれた方がこっちも気付きやすいんだけど」
「こっちの方がおれが来たって分かるじゃん。夏嫌いのサトシを夏好きにするまでは、毎年鳴らし続けるぜ!」
(チャリン)

得意気に倫太郎は言うと、僕を置いて自転車を漕ぎ始める。
こんな暑い日に熱い男と一緒にいるのも酷だな。
でも外出のきっかけを作ってくれる倫太郎には、内心感謝もしている。

・・・

(チャリンチャリン)
「さくらちゃん、プール行こ〜!」

娘は夏が嫌いだが、りんかちゃんに誘われ家を出る。
蛙の子は蛙とよく言うけど、全く変わった部分が似てしまったなあ。

今年も夏が始まった。

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