【掌編小説】月と桂男
あのさ、今日知ってんけどな、妖怪って地球だけじゃなくて月にもいるんやって。たった1人で月に住み続けてるやつがおんねん。そいつは『桂男』っていう妖怪らしくてな、月に生えてるでっっかい木を1人でずっと刈ってるらしい。
でも桂男は悪い妖怪じゃないねん。というか、悪いことした罰として月に飛ばされてんて。しかも不老不死の姿にまでさせられて、言うたら無期懲役のもっと残酷な罰やな。兎が呑気に餅ついてる裏で、絶対毎日泣いてんで。
おれそれ知ってから月見るたびにちょっと悲しい気持ちになんねん。