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雲の流れ

 雲が流れていたのだ。ビルの無機質な線が空の形を切り取りながらも、雲は音もなく流れていた。僕はそのことに気がつきもせず、暮れ始めた空の色を見ていた。雲は夕日の残光のために桃色にひかったり、夜の藍色に染まり始めたりもしていた。

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