落星
庭に星が落ちた。星は庭に生えた草むらでプリプリ光って街の空には星の群が線を描いていくつも横切った。過ぎてゆく星の姿はひとつふたっつ、ダイダラナナフシの背の甲や脚にぶっつかって、砕けた星の光の汁がダイダラナナフシの脚を垂れてゆく。
わたしは星網を一本持って落ちてくる星のひとつを捕まえた。網で掬った星の粒は網の中で光の煙をしゅうしゅうと上げてそのうち光ことをやめるのだけれど、それでも星であった名残は網の中で転がって落ち着きがない。さっきまで冷房の効いた部屋にいたのに、体感の温度は肌にまとわりついて鬱陶しい。首や腕に汗が滲み、額から頬へ汗が伝った。
草むらの虫の鳴く声がコロコロと聞こえてあたりはそれきりになった。また星が落っこちてきた。
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