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九月

 街の人々はみんなくたびれた顔をしていた。それはまだ暑さの残る九月のせいかも知れないし、街に坂が多いせいかも知れないし、高すぎる税金のせいかもしれなかった。背の低い男がいて、眉毛のない女がいた。また顔の小さい女がいて、足の長い若い男がいた。SNS越しに見る世界は意外にちっぽけで醜く、ごくありふれた心地よさの中に街はあり、その街の中に僕がいた。駅前のコンビニではすでに中華まんを販売していて、お菓子売り場の真上には橙と黒色のハロウィンのポップがぶら下がっていた。時間はあっという間に過ぎてしまうものだ。あと数日で秋が来て、冬がたちまち秋の世間を飲み込んで、たまに雪が降り、電車が止まり、年末を迎える。いつまでもその調子が続き、僕は歳を取る。

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