#母と娘 ⑤ 身体が怒っている!
突然の不整脈!
前日受けた鍼治療が強すぎたのかと思ったが、一向に収まる気配がない。
ドキドキではなく、脈が不規則に飛ぶ。
一日中胸がしゃっくりをしているみたいだし、夜中も目が覚める。
病院での検査では、不整脈は1日1500回以上もあった。
が、危ない心電図の波形ではなく様子を見るしかないという。
心臓病を思わせる所見は、他には何もないらしい。
でも「失神することもあります。何かあったらすぐ救急車を呼んでください!」と言われてしまった。
そんな~!
しかも、ゆっくり休む、身体を緩ませる、リラックスする、身体が暖まるほど不思議と不整脈は増加するのだ。
まるでリラックスしてはいけないみたいに!
この不快感と不安を何とかして欲しい。
外出も不安になり、何も楽しめなくなった。もうこのまま引きこもりかも。
とはいえ何とかしなくちゃと、気功やいろいろな整体を受けてみた。
行く度に、今度こそわたしの不調を治してくれるのではと期待するのだが。
カレンダーは治療の予定だらけ。お金はどんどん治療費に消えていく。
いったい、わたしは何をやっているのだろうと虚しかった。
コロナ後遺症、自律神経失調症、副腎疲労、首の骨のズレ、等々、
診断名はいろいろだったが、一様に言われたのは、
「疲れがひどいし、ストレスで頭が重くて雪だるま状態」
「邪気がすごく溜まっています」
「みぞおちがカチカチです。何か我慢していますか」
ストレスも我慢も認める。それに邪気がネガティブなものとはわかるけれど、具体的に何なのか。どう対処すればいいのだろう。
カリスマ的先生にはいきなり「親を尊敬しないから病気になるんだ。
ちゃんと尊敬して感謝してるか」と言われた。
「それができたら苦労しませんよ。どんな親でも尊敬しなくちゃいけないんですか!そんな事で本当に病気になるんですか」と反発したかったが、すっかり気弱になっていて、黙っていることしかできなかった。
反発しつつも、どこかで納得して、落ち込んだ。
ある気功の先生には「胸の奥の方に、何かドロドロしたものが溜まっています。これは精神的な問題によく見られることです。しかもかなり深く溜まっていて、すぐには取り切れません」と言われた。
自分の胸の奥に、ヘドロのような、どす黒い塊があるなんて、想像するだけでゾッとする。その正体は何なのだろう。
しかも不思議なことに、どんな治療、施術でも、受けた日の夜中に必ず熱感と激しい動悸に襲われて汗だくになるのだ。救急車を呼ぼうかと思うほど、パニックになった。どうしてだろう。先生たちも、頭を抱えてしまった。
漢方薬も試してみる。
長い問診を経て、わたしに合った漢方薬を処方してもらった。でも期待に反して、やっぱりまた強い熱感と動悸が起きた。種類を変えても、やはりダメだった。とても一生懸命に考えてくださった薬剤師さんは、申し訳ないことに、2回目の薬代を無料にしてくださった。
そのうち生姜、にんにく、コショウなど香辛料もすべて受けつけなくなる。鰹のタタキにたっぷり薬味を乗せたら、苦しくて大変なことになった。
どういうことだろう。
もう担担麺も、麻婆豆腐も、カレーも食べられないの?
いやいや、そんなことより、どうしたらいいのだろう。
ここでやっと気づいた.…これは身体の訴え、叫びだ。
明らかに身体が怒っている。違う!そうじゃない!
悪いのは治療でも、薬でもない!
不調の原因はやはり精神的なものなのだ。
それって母との関係しかありえない。ようやく、そこに気づく。
ついに「パンドラの箱」を開けることになるのか!