はじめての有給

かつてnoteに掲載していた記事の再掲です。

2023年7月7日(金)、織姫と彦星が年に一度のしけこみをキメるその日。私は人生で初めての有給をとった。

金曜日はカレンダー通りに働く社会人誰もが、最強になれる日である。

金曜日、というのは翌日何もないという点で素晴らしい。朝起きて慌ただしく身支度をし、おしくらまんじゅうを踏襲したエクストリームスポーツ・満員電車を突破し、8時間光を放つ板を見つめ、再び学級委員の脳みそみたいにギチギチな電車に乗り、作り置きのありがたさを噛み締めながら食事を作り、今日やり残した作業のことを考えながら冷たいシャワーを浴び、また明日訪れる労働のために体力を温存する…といった諸々の必要がない。金曜の夜は、存在する時間を全て自分のためだけに使えるのである。最高だ。

しかしながら最強の時間というのも、退勤後残された6時間足らずで終わってしまう。土曜は平日できなかった家事と買い出しと飲酒に追われ、日曜は迫り来る月光(月曜が発してる光)に恐れ慄くしか出来なくなる。自由で最強な時間は短いのである。なんと儚いものなのだろう。

そこで私は、社会人にのみ許された特権である「有給」を使うことにした。

有給というのは、月火水木金働く社会人が、年に10日程度与えられるオアシスのことである。簡単な言葉でいうと、給料が発生するけど労働しなくていい日のことなのである。有給を使用することで、賃金の発生する自由を強制召喚することができる。金が無くなり続けるのに年がら年中休日を錬成できる大学生とは大いに異なるバグ技である。とんでもない。

私はこのサラリーマンに与えられた特権、「有給」を、金曜日に発動することにした。

金曜日に有給を取得することで、金曜特有の最強タイムを24時間延長させるのだ。もうこれは、華金どころではない。めちゃくそ華木。


そして今日、2023年7月6日。パソコンの画面が18:00を示した瞬間から、私は最強タイムに突入した。


ここからは時系列に沿って箇条書きで最強タイムを記述する。


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・18:00 退勤

最強タイムに突入する高揚感を隠せず、いつもよりご機嫌な声で「お疲れ様で〜す!」と会社を後にした。足取りは綿飴より軽い。


・19:00 大学時代の知人と食事

夜なのに昼間より眩しい繁華街で大学時代の知人と食事をした。主にTwitterや研究の話をした。夜はまだ始まったばかりである。


・21:00 知人のバーへ

普段は平日にお店に立っているため、中々挨拶に行くことができなかった知人のカラオケバーへ訪問。知人は2人とも歌がうまかったので、耳が成仏した。


・23:00 自宅へ

酒もそこそこに解散し帰宅した。同居人と無敵ダンスを踊っていたが、同居人は明日も普通に仕事なので、早々に寝た。無敵状態の人間が1人、踊る。


・24:00 RTA視聴

ピクミンシリーズのRTAをYouTubeで視聴。7月21日にピクミン4が発売されるので皆さん買いましょう。


・25:00 飲酒

酔いが覚めたので飲酒を再開。コンビニへ向かおうとしたが、突如として近所で「本当にあったらしい恐怖体験談」を思い出し踵を返す。エレベータ内にて自宅のある階を連打した。背後を気にしながら小走りで帰宅。ウイスキーをストレートでいただく。


・26:00 飲酒

近隣マンションの常夜灯を眺めながら酒を飲もうと思ったが、「本当にあったらしい恐怖体験談」が頭をよぎったので、窓から目を逸らした。


・27:00 飲酒

キャプテンモルガンは甘くて美味しい。この酒は同居人のものだが、彼は早く消費したいと言っていたので決して猫ババではない。


・9:00 起床

ピクミンシリーズの攻略サイトを見ていたら寝落ちしていた。今日は無敵なので、煩雑な家事を先に終わらせる。掃除と皿洗いをした。


・10:00 朝食

同居人が仕事だと言いながら朝ごはんを作っていた。あなたの仕事はエンジニアではなかっただろうか。朝ごはんはウインナーだった。最強の予感がする。


・11:00 出かける

シャワーを浴びて着替えて、普段つけない帽子を被り出かけた。繁華街は昼から飲めるという最高のサービスがある。時々横切るサラリーマンらしき人々たちに優越感を抱きながらハイボールを3杯飲み干した。美味すぎる…ッ!


・13:00 帰宅

外が暑すぎて涙が出そうなので帰ることにした。
帰宅してさらに酒を煽る。美味い!

・14:00 
記憶なし


記憶が亡くなった。
良い休暇を酒で潰すのは贅沢だった。

終わり

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