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大垣サウナ

この世のサウナ施設の中で、いちばん好きなのが大垣サウナだ。

僕の地元、岐阜にある大垣サウナ。

時々ふらりと寄りたくなる大垣サウナ。

大きく言えば大垣サウナには魅力がふたつ。

サウナの魅力と、施設から漂う魅力があるように思う。



まずサウナ自体の魅力。

水風呂の水がとにかく綺麗で澄んでいるところ。
サウナ内は100℃を超えるが、ふしぎと息苦しさがないところ。
タオルが使い放題であるところ。施設内の洗濯機がいつもガンガン回っているので、従業員の方に頭が上がらなくなる。
普通のお風呂より水風呂のサイズの方が大きいところ。「サウナ第一主義」感を味わえて良い。

などなど。

シンプルにサウナの質が高くて嬉しい。




次に施設から漂う魅力。

それは無骨なレトロさと清潔感から来ている。

調べたところ、大垣サウナは昭和の頃からあるらしいのだが、その年月ゆえに建物や内装には歴史を感じる。

というか端的に言えば古さを感じる。

そしてその古さは、いわゆる若者が好きなレトロさ、古さの中にお洒落さやセンスや映えがあるのとは違って、ただ、古いのである。

照る日も曇る日も、愚直に丁寧に客へのおもてなしを積み上げた年月が、施設の壁に、床に、染みついている。

人気のサウナ施設なのに、メディアなどでもよく取り上げられているのに、なぜか昔からある、どこにでもあるお風呂屋さんの面影が残っている。

その無骨な古さ。
ただずっとそこに存在してきたという威厳。

けれど、古くとも、従業員の方の日々の努力によって、清潔さやホスピタリティはあるので、そこがあっぱれだと感じる。

大垣サウナは年中無休で営業している。

今日も明日も明後日も、誰かの心を潤している。

よどんだ空気は微塵も感じさせない。

格好良い。

だから帰省すると大垣サウナに僕は足を運びたくなる。




20240818。
お昼過ぎのひととき。
岐阜に帰省中、大垣サウナに行った。

大垣サウナに着くと僕は、料金を支払い、服を脱ぎ、股間を必要以上にブラブラさせながら通路を歩き、身体を洗って、サウナに入る準備を済ませた。

その後少しお風呂に浸かってからサウナに突入。

サウナの中にはテレビがあるのだが、そのテレビでは、プロ野球中継「中日対阪神」が放送されていた。

僕は中日ファンなので、中日の試合を観戦できることを喜んだ。

なんせ他のサウナ施設ではテレビの無いところもあるので、どうしても「暇だな〜」と感じてしまうことが多い。だからテレビでプロ野球中継がされているのを見るとテンションが上がる。

もちろんテレビの無いサウナの、自分の内側の神経に集中できる環境や、時間を贅沢に使っている感覚も好きだ。

しかし個人的には、見たいと思えるテレビ番組を見ながらサウナに入ることの方が魅力的に思える。

暑い中で退屈を持て余すのがしんどいからだ。

しかしとはいえ、野球中継を見ながらサウナに入ることへの問題点もある。

それは、「いつサウナから出れば良いのかタイミングが分からなくなる」ことだ。

僕は1セットにつき10分間サウナに入ることが多いのだが、例えば10分経った時に、中日の攻撃でノーアウト満塁のチャンスの場面だったりすると、非常にサウナから出にくい。

「今サウナから出ると、得点のシーンを見逃してしまうのではないか?」
と不安が、サウナから出ることに躊躇を生むからだ。

ただ、そうは言っても長くサウナに入り続けるのは危険な行為。だから適度なタイミングを見計らって水風呂に向かわなければならない。

そのタイミング合わせが難しいのだ。

なんせ自分は結局その日、サウナに3セット入ったものの、1度も適切なタイミングでサウナから出ることができなかった。

まず1セット目は、
3回裏のドラゴンズの攻撃で、細川選手が2点タイムリーヒットを打ったシーンを暑さに耐えきれず見逃した。

次に2セット目は、
4回裏のドラゴンズの攻撃で、大野選手がタイムリーヒットを打ったところまでは見た。しかしその後、「もうヒットは出ないだろう」と腹を括りサウナから出たら、さらにその後に3点も追加点が入っていて、「何が起きた!?」と衝撃を受けた。

最後に3セット目は、
5回裏のドラゴンズの攻撃で、「今日は乱打戦だ。もう得点が入るところを見逃さないぞ!」と決意して入ったのに、ただの1点も入らなかった。

しかもその後の6回裏の攻撃の時間で、身体を拭いたりドライヤーで髪を乾かしたりしていたら、さらに1点の追加点が入っており、そこも見逃した。

まったくもって得点の場面を目撃する運が欠けている。

ショックを受けた。

サウナに入る時間と中日の得点する時間が上手くととのわなかった。

とはいえサウナは気持ちよかったので満足した。

そして、

「サウナとプロ野球観戦を繰り返して、気持ち良くなってリラックスしてるってこれもう、理想のおじさんの過ごし方じゃん」
と感じさせてくれる大垣サウナ。

「10年か、20年か、30年か、それ以上か時は経った先の自分でも、なんなら先の自分の方が、今日の過ごし方を満喫出来るだろうな」
と感じさせてくれる大垣サウナ。

地元の無骨ユートピア施設。
その名は大垣サウナ。

半世紀以上も営業は続いているそうで、いつまで当たり前のように街にあるのか分からないけれど、これからも長く通えたらたいへん有難い。

また大垣サウナイキタイ。

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