Opus
二日前に届いた。
CDの隣はクリアファイル。購入特典。
なかなか聴くのがつらい。
丁寧なライナーノーツも、DVDと共通だからか映像解説にもなっていて何だかなぁと思う。
9日後には美術館での展覧会も開かれるし、それにも足を運ぶ予定で、教授を偲ぶ機会があるのは嬉しい。
嬉しいけれど、嬉しいのに寂しくてつらい。
人の死について思う。
1番近い人は、父。32年前のこと。
父は58で死を迎え、2人の孫も小さくて、心残りが多かったと思う。
母を残して逝くことをどう感じていたのか、想像することも難しい。
私の想像がかろうじて及ぶのは、無念だっただろうということ。
大手術を乗り越え、術後の苦しい治療にも耐えたのに、8ヶ月後に「窒息死」という形で幕を閉じた。
人生は不公平に出来ている。
大病に罹患するかどうか、それが寛解するかどうか、誰にも分からない。
喫煙しなくても肺がんにはなるし、ベジタリアンのような食生活をしていても、病むときは病む。
逆に、努力しようが善行を積もうが、幸も不幸も平等にやってくると言うべきか。
聖書には、何も生産せず労働せずとも神は充分に愛してくださる、というような一節があった。
だから、何も期待してはいけないのだと思う。
これだけ頑張ったのだから報われてしかるべきだとか、気を付けていたのだから健康だとか。
教授も、誰も、重い病の前には狼狽え命乞いし摂生する。それが功を奏するかどうかは神のみぞ知るとしても。
「opus」の収録曲は、どれも優しく私に寄り添ってくれた。ただ、教授の肉体は滅び、目の前でピアノを演奏する姿を目撃することは、もうない。思い出すことでしか彼をこの世に呼び戻せない。
今はまだ、それがとても悲しい。