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今回のフォーカスは「救急を救急せよ」


①年末年始のできごと

2024年から2025年の年末年始は、インフルエンザ・コロナウイルス・マイコプラズマなど感染症が流行し、多くの方がしんどい思いをして過ごされたかと思います。本当、大変でしたね。
私は・・・正直なところ12月中に謎の発熱があったのですが、2・3日で解熱しました。何だったのでしょうか???(主治医に報告してなかったので、これはここだけにしておいてください笑 大汗)
SNSなどオンライン上で、休日・夜間の救急外来受診の行列の画像ともに悲鳴にも似たコメントが多く見られました。その中で、『わざわざ受診せず、解熱剤を飲んで自宅療養した方がいい』という意見と『早期回復のため、抗ウイルス薬を内服して安静に』という意見が分かれました。確かにそうかもしれません。どちらも納得がいく意見です。高齢者や基礎疾患など抱えている方やお子さんの場合は重症化するリスクは多大にあります。そのため、抗ウイルス薬など早急な医療(ケア)が必要とされる場合があります。ですが、先にあげた方々以外でも救急外来に来てはいけない法令などないので、受診されてもいいです。が、同じ思いで受診されたり、他、心疾患・脳血管疾患・消化器疾患、交通事故などの外傷で搬送されてこられる患者さんもいますから、優先順を考え多少お待ちいただくものと覚悟して欲しいと思います。それを「何時間も待たせた」「後からきた人を先に診察した」など文句をSNSに書き込んだり、直接、医療従事者に言うのだけはやめてほしいと思います。
また、年末年始で世間はお休みのところもありますが、年末年始・休日等関係なく仕事などある方もいらっしゃいます。その中でインフルエンザに感染した場合、罹患証明など企業や保育園等に提出しないと休めない(欠勤・欠席になる)ようです。ですが、厚生労働省より求めることはないとされていますので、下記のリンク厚生労働省の文書 Q19 とQ20を確認いただけたらと思います。

②救急外来に受診すべきか?救急車を呼ぶべきか?

そのそも、高齢者や基礎疾患、お子さんも含め「救急外来に受診した方がいいのか?」「ちょっといつもよりしんどい状況だけど救急車を呼んだ方がいいのか?」悩む場面があるかと思います。医療関係者はある程度、知識もありますから対応できるかと思いますが、市民の方々はそういうわけにもいきません。最近では、そのような状態になった場合、SNSやオンラインサイト(急に具合が悪くなった場合の対処法など紹介)やAIまで検索・活用できる時代となりました。皆様が比較的、馴染みのある「#7119」もその一つではないでしょうか?
いずれの方法もスマートフォンがあれば容易に検索・活用できますが、デメリット(気をつけた方がいい)や課題とされていることもあります。
SNS:たくさんの情報があり、しんどい中で情報を整理するのは難しい。
   医師や看護師を名乗る方々もいますが、本当にそうか分からない。

オンラインサイト:医療機関のサイトやたくさんの情報を提示してくれるが、整理
         したり自分の症状にあったものを探すために時間を要する。
         場合によっては、とんでも医療に誘導される。

AI:一般的なことがメインで自分の状況に当てはならないこともある。

#7119 :繋がりにくい

皆さんが比較的馴染みのある「#7119」の取り組みで山梨県の事例を紹介します。
*検索した際、興味深いデータがあったので山梨県をチョイスしました。悪い意図はない事をご理解いただけたら幸いです。
山梨県は2023年10月に「#7119」を開設しました。開設から6ヶ月(2024年3月)の中で、電話(コール)があった総件数は9047件だったそうです。
そのうち、救急の相談件数は4712件で実際に救急搬送を必要とした件数は864件とのこと。81.7%は救急車出動(救急搬送)はなかったのです。
ちなみに、9047件中に医療機関の案内ダイヤルの紹介は4335件であったということでした。
出典:NHKが山梨県への取材した際のデータによる

そもそも、この「#7119」の事業をやられている都道府県(自治体)はどれくらいあるのか?という疑問もあります。『えっ?全国でやられているんじゃないの?』と思った方もいらっしゃるかと思いますが、全国ではないんです。実施エリアは下記の図をご参照ください。


総務省消防庁「安心救急センター事業」資料より

③救急を救急すべく「田村的ケア計画」

まず「#7119」の全国展開をしていかないと、救急外来へ行った方かいいか?救急車を呼ぶべきか?市民の皆様が判断つかない場合もあります。早急にお願いしたいです。しかし、こういった事業は民間へ委託する場合もあり、人件費や対応できる医師または看護師を確保していかなければなりません。ただでさえ、医療従事者(医師・看護師など)不足していますから難しいかと思います。医師の場合であれば専門分野がありますから、一般的なことは話せてもより状況を把握してアドバイスできるためには研修なども必要になってきます。看護師も「看護師資格があれば誰でもいい」「潜在看護師にお願いすればいい」というものではなく、医師と同様に状況を整理して聞き取り判断するためには研修なども必須ではないかと思います。
いずれにせよ、開設するためには予算も必要でインフラや事業の周知(広報)も重くのしかかる。その辺りを国や都道府県(自治体・市区町村)がどう考えていくか?どのようにしていけば、コストも意識しつつ、市民の健康を守り限られている医療資源を有効に活用できるか?にかかっているのではないかと思います。
そして、この数年の取り組みの中で必ず「振り返り」をすること!と、市民もできることを考えて実行していく!しかないように思います。
振り返りの内容として、②であげた山梨県の事例を考えると、医療機関の案内ダイヤル紹介であれば、あらかじめアプリケーションのように選択式で#7119にかけなくても調べることができる仕組みを作っていけば、その分、繋がりにくいなどの苦情がなくなるのでは?とも。繋がらなかった場合の代替案(第二連絡先)もきちんと並列して明確に記載することが重要です。また、どのような相談事項(救急搬送も含む)が多かったのか?を分析して日頃の啓蒙・啓発活動に活かしていく。例えば、「胸の痛み」であれば心疾患・呼吸器疾患・胃を中心とした消化器疾患・整形外科領域も考えられます。救急搬送した先でどのような診断だったのか?追跡もできれば、より具体的に啓蒙・啓発に役立つことが考えられます。このデータ分析は、救急対応だけではなく予防医学・公衆衛生にも役立つのでは?とも思います。
自治体や関係公的機関も啓蒙・開発活動を効果的に行うことも重要ではないでしょうか?
自治体から送付される各書類に、その書類内容とは関係ないものでも「#7119」のチラシを入れたり、行政機関等のホームページに特設ページを作り常設していく。そのリンク(ページ)にアクセスしやすいよう、自治体等の封筒にQRコードを貼るという方法もできますよね。最近では、自治体のSNSもありますので、例えば毎月9日に一斉投稿するなど「しつこく」「常に」「隙あれば」意識できるようにしておくといいのかもしれません。
市民も日頃からの感染対策と健康管理をするとともに、比較的若い世代も「健康不安があった場合に相談できる医療機関を持つ」ことも必要ではないか?と思うのです。若い世代は、基礎疾患などない場合、年に数回しか医療機関に行かない場合がほとんどではないでしょうか?予防接種をする医療機関でもいいと思うのです。
今回の年末年始でも分かったように、「いざ、自宅療養する際の備えをしておく」ことも普段からできることの1つではないでしょうか?ドラッグストアで解熱剤を購入することや、経済的に余裕があれば抗原検査キッドを購入しておくなど準備はできるかと思います。
いずれにしても、体調が優れない時は休む。悪化する前に「何だか変だな?」と思った時に受診することが必要なんだと感じます。めちゃくちゃ悪化してしんどい思いをするのはご自身ですし、療養期間も長くなってしまうことが考えられます。「そんな事言っても会社・学校休めないよ」と思う方もいらっしゃるのは分かります。かつての私がそうでした。その結果、パフォーマンスは低下して、できることができなくなったり、参加したかったイベントに参加できなかったこともありました。価値観の問題ではありますが、健康と天秤にかけて考えてみてください。「そんな事言っても介護・子育てがあるよ」と思う方もいらっしゃるかと思います。仕事柄、そういう方がいらっしゃって相談を受けました。そういう時に対応できるよう健康な時に対応策を準備しておくことも市民としてできることの1つではないでしょうか?
休日・夜間は医療資源(対応できる医療機関)は限られています。発熱から症状が悪化する可能性もありますが、それに加え「命の危機」にある方々もいらっしいます。そういった状況もあることを知っていただけたらと思います。

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