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IB 化学 反応性1.2をざっくり解説!
こんにちは!今日は、IB化学のReactivity 1.2についてお話しします。
1.2.1:結合の切断と結合の形成
◯結合エンタルピーとは?
結合エンタルピーは分子内での原子間の共有結合を切り離すために必要なエネルギーです。
例えば、$${H₂O}$$分子があるとします。この$${H₂O}$$分子を2つのH原子に戻す際の結合エンタルピーは、$${ΔH = +436 kJmol⁻¹}$$ です。
![](https://assets.st-note.com/img/1736215045-iecEXBr3UjpshxoZLfF70kRv.png?width=1200)
原子同士を引き剥がす際に、外側からエネルギーをもらう必要があるので、吸熱反応($${ΔH>0}$$)であることもわかります。
◯結合エンタルピーは、気体状態でしか考えません!
→もし、分子が液体や個体である場合は、分子間の距離が近く分子間力が強いので、分子間力という余計な力まで断ち切る必要があるので、考えません!
◯結合の強度
一般的に結合の強度が上がれば上がるほど、結合エネルギーも高くなります。
◯結合エンタルピーの例
各分子の結合エンタルピーは、自力で計算するのが難しいので、文献値として教科書やformula booklet に載っています。以下に例を挙げます。
O-Hの結合エンタルピー:463 $${kJmol⁻¹}$$
C-Hの結合エンタルピー:416$${kJmol⁻¹}$$
◯問題に出てくる、化学反応式における結合エンタルピーの求め方
以下にこのような化学反応式があったとします
$${H₂ + Cl₂ → 2HCl ΔH = -184 kJmol⁻¹}}$$
ここで、文献値を利用すると
H-H:436 $${kJmol⁻¹}$$
Cl-Cl:242 $${kJmol⁻¹}$$
H-Cl:461 $${kJmol⁻¹}$$ のため、
結合エンタルピー($${ΔH}$$)は、
$${ΔH = (左辺 -右辺)}$$
$${= 678 kJmol⁻¹- 862 kJmol⁻¹}$$
$${=- 184 kJmol⁻¹}$$
1.2.2:ヘスの法則
◯ヘスの法則の概念
例えば、以下の複数の反応経路があるとします。
反応経路1
$${A + B → C ΔH = + x}$$
$${C + D → E ΔH = + y}$$
反応経路2
$${A + F → E ΔH = + z}$$
どちらの反応経路も初めと終わりの物質が等しいことがわかります。
ここでヘスの法則は、どのような経路を辿っても初めと終わりの物質が等しければ出入りする熱量は等しくなるという意味を持ちます。
つまり、熱量の式は
$${x+y=z}$$
というのがわかります。
エネルギー図で表すと、
![](https://assets.st-note.com/img/1736212376-zRiemVunNgUWDXIF72plTLt9.png?width=1200)
◯ヘスの法則の問題例
xの値を求めよ。
① $${C+O₂→CO₂ ΔH = -394 kJmol⁻¹ }$$
②$${CO + 1/2O₂ → CO₂ ΔH = -283 kJmol⁻¹ }$$
③$${C+1/2O₂→CO ΔH = x kJmol⁻¹ }$$
2つ以上の式の左辺に現れているため、ここで全体の反応物がCであることがわかります。また、2つ以上の式の右辺に現れているため、全体の生成物がCO₂であることがわかります。
よって、
①$${C+O₂→CO₂}$$
②$${C+1/2O₂→CO}$$と$${CO + 1/2O₂ → CO₂}$$
この2つの式の熱量が同じということがわかります。
よって
$${x+(-283) = -394}$$
$${x = -111 kJmol⁻¹}$$
実際のIB試験ではこの問題以外にも物質間の係数を調整しなければいけない反応式なども出てきます。
ただし、反応物と生成物を特定し、反応経路を見つけてエンタルピーを計算するという基本的な流れは変わりません。「ヘスの法則」をしっかり理解しておけば、IB化学の試験でも自信を持って臨めます。ぜひ、繰り返し練習してみてください!