「働きマン」を久々に読んで
昨日本屋で買った漫画を読む。
「働きマン」は出版社で週刊誌の編集を行う女性が主人公の物語となっていて、2004年から2007年頃まで1巻~4巻が発売されていた漫画作品である。
最新巻の5巻が2024年6月、つまり4巻から17年ぶりに刊行された。
改めて1巻から読み直してみたが、これがめちゃくちゃ面白い。
この作品は当時は今ほど多様性の時代ではなかった状況で、自分らしく生きたいと願う女性の姿が描かれている。(5巻のあとがき参照)
そのため、今の時代ではおそらくアウトな描写(男性社員のパワハラや勤務体制など)が結構ある。
それゆえ時代錯誤ではあるかもしれないけれど、それでもぐっとくるものがある。主人公以外のキャラクターの働き方にも焦点が当てられていて、それぞれがトラブルに巻き込まれたり、葛藤したり、うまくいかないながらも、前に進んでく姿が描かれている。
この漫画作品の何よりもすごいところは答えが出ないところ、こうしたらうまくいくといった手段が描かれていないところだと思う。
物事は好転しないし、問題は山積みだけど、それでもそれぞれのキャラクターが明日にむかって何かしら行動するところにとても感動する。みんな悩みを抱えながらも、そこにとどまらず前に進んでいる。結果としてうまくいかなかったことも描かれているけれど、それで何が悪いといった強い作者の意思も感じる。
5巻のあとがきによると、この5巻はもともと単行本に未収録だった作品を講談社編集部の「今だからこそ出す意義がある」という強い意志があり、刊行したのだそうだ。
ここに響いた読者が一人いるわけで、その心意気にとても感動した。
うまくいこうが、いかまいが、懸命に前に進んでよし。そんなことをこの主人公が背中で見せてくれるような作品である。本当に読んでよかった。