いつ建てるか
わが家の場合は、娘が4歳の時に家づくりをしましたが、きっかけは当時住んでいたマンションでした。マンションの駐車場は立体駐車場だったので、今後ベビーカーではなくバギーを使用するようになると乗せ降ろしが難しくなることや、娘がおもちゃで遊んだり、バニーホッピングで移動する時などにたてる音の問題、バギーや座位保持椅子などを室内で使用することを考えると広さがあったほうがいいことなどから決意しました。
成長過程にある障害児の場合、今後どう成長するのか、どこまでができるようになるのか、あるいは何ができなくて困ることになるのか、将来の姿が想像しにくいことが家づくりのハードルになります。バギーや座位保持椅子など、今はまだ目にしたことがないような福祉用具、福祉機器も使うことになるかもしれません。
どのように住環境を整えておけばいいのか、情報が少ない中で家づくりという一大イベントに取り組まなければなりません。単純に注文住宅の家づくりというだけでも大変なのに、「障害児のための」というのが加わることで難易度がグンと上がります。
それでも、家づくりを経験し約1年間生活してみて思うのは、建てられるのであれば早く建てたほうがいい、ということです。
その理由は、まず、子どもと一緒に生活できる時間は限られているからです。私たちは晩婚夫婦で、私は高齢出産だったので、平均寿命から計算してあとどのくらい一緒にいられるかな、など考えたりしました。それから、こんなことは本当は想像したくはないですが、病気を抱えている子どもなので、そもそも一体何歳まで生きられるのか…、何が起こるかわからない…、そして、状態によってはどこかに入所することになるかもしれない、など想像したりもしました。そう考えると少しでも早く住環境を整備し、家族みんなで快適に楽しく過ごす生活をスタートしたほうがいいと思いました。
障害児ママたちはついついがんばっちゃうので、がんばればできる、という状況だとがんばりすぎてしまい、サービス導入や福祉機器導入が遅くなる傾向にあるそうです。身体が大きくなると介護者の負担も大きくなるので、その点でも住環境の整備は重要になります。新居での生活は娘だけでなく家族みんなが快適で、QOLは急上昇でした。
家づくりは当然お金がかかりますが、早く建てたほうがいいと考える理由は、このお金に関することにもあります。単純に、今は住宅価格も高騰しているので、その点でも早く建てたほうがいいとも言われていますが、障害児のことで考えると、障害児は教育費がかからないということです。家づくりは、この先の教育資金や老後資金を踏まえた資金計画のもとスタートするものですが、障害児の場合(もちろん障害の程度によりますが)、大学進学率も健常者より低く、特別支援学校は大半が公立です。大学に行かないのであれば、大学に入るためのお金、授業料、一人暮らしをするためのお金は必要ありません。わが家の場合も、娘の将来においては教育費がかからないと思い、その分を住環境整備にまわせると考えました。
生活の基盤である住環境に不便さがあるのであれば、そこにお金を使うことでお金には代えがたい快適さが手に入ります。そう考えると、将来の姿が想像しにくく難しい家づくりになるとしても、できるだけ早く、多少の変化に対応できる余白のある家を建てたほうがよいのではないかと考えます。
※わが家の場合は新築しましたが、新築に限らず、リフォームなどの住環境整備も含めた話だと思っています。
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