【実話】蛙が参る
私の父方の祖父は、もう何年も前になりますが
3月2日に亡くなりました。
いつも笑顔で明るく、多くの人から愛された
好好爺で、家族を見守る温かな太陽のようでした。
末期癌でぼろぼろになった肺を震わせ
苦しい、とか、楽になりたい、ではなく
「お前達のことは、死んだあと、
ちゃんと、見守るからな。」
と言った姿に、人間を越えた凄みを感じたのを覚えています。
そんな祖父の死後、私達は墓や家で奇妙な光景を目にするようになりました。
初盆の時にお参りしに行った墓の掃除をしているときのこと。
墓の足元が妙に気になって、そこをじっと見ると、
芝台(墓石が乗っている土台のようなもの)と地面の間に、2センチメートルほどの小さな穴があるのを見つけました。
これはいったい何の穴だろうと気になっていると、そこからひょこっと蛙が顔を覗かせたのです。
それをみんなに伝えて見ると、確かにアマガエルがくりっとした黒い目をうるうると光らせながら喉を震わせていました。
「もしかしたら、おじいちゃんが姿を変えて出てきたのかもしれないね。」
近くにある田んぼからたまたま居心地良さそうな所に入っただけかもしれませんが、私達はそんな風にとらえて、無理に追い出すこともせず、どこか温かな気持ちで墓参りを終えました。
ただ、不思議なのはここからで…。
また別の、月命日に墓参りをした時のこと。
なんとまた、墓石に蛙が張りついていました。
辺りを見渡しても、他の墓には蛙がついておりません。
ここでいよいよただの偶然ではないと思い、
蛙は祖父が見守りにきている時のかりそめの姿だ、という考えが強くなりました。
それからも度々、お盆や月命日になると
墓で蛙を目撃することが増えました。
蛙とは違うのですが、曾祖母と祖父の法事が重なった年、祖父の月命日にヤモリが浴室の窓に張りついていたこととありました。
とにかく、蛙を見ると祖父に繋げてしまう
我が一家ですが、それこそちょうど昨日
2024年の8月2日のこと。
私が夜遅くに家に帰りますと、
なんと玄関のドアに蛙が張りついておりました。
我が家がある市は、お世辞にも都会とは言えませんが、家から田んぼまでは少し離れていますし、なにより、ここんとこ晴れが続いて雨は降っておらず、
蛙がわざわざ田んぼを抜け出して、水気のない住宅街に来る理由が分かりません。
そこで
「そういえばお盆が近いし、何より今日は祖父の月命日だ。」と気づいて、これはほんとに偶然ではないなと、感心してしばらく蛙を眺めていましたが、蛙はさっと飛んでいってしまいました。
ところで、蛙やヤモリは龍神様の遣いと言われていることをご存知でしょうか。
祖父の干支は、辰年であります。
私達が蛙と祖父を関連づけたのは、
実はそういった理由もありました。
死んで龍の元に行った祖父が、
私達家族を見守るために、月命日になると蛙になって帰ってくるのかもしれない、なんて思っています。
そういえば、今年は辰年でしたね。
そんな祖父に関わる不思議なお話を
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