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【実話】子供に好かれる

まだ高校生の時だったと思います。
それまでの私は何故か異様に
子供に好かれました。

初対面の子供に懐かれることが
多々あったのですが
着ているのはズボンなどのメンズライクな服ばかりでしたし、
目つきもあまり良い方ではないのに何故だろうと思っていました。

同級生からも何故か
「遊安ちゃんは子供に好かれそうだよね。」と
度々言われていたぐらいです。



そんな最中、家族と参拝したお寺で体験した出来事があります。

そこは大きなお寺で
本堂に行く前に受付のようなところがある
場所でした。

お土産ブースみたいなところもあって
私は参拝前に家族と雑談をしながら
お守りなどを物色していました。


すると、
後ろからタタタッと駆け寄る軽い足音が
聞こえてきて、
ちょうどふくらはぎ当たりを
ぎゅっと抱き締められました。


驚いて振り返ると
見下げた位置に男の子がいて
私の顔を見るなり驚いた顔をして
遠くにいるお母さんのところへ
走り去っていきました。


お母さんの服装も体型も私とは
全く違ったので
おっちょこちょいな子だなぁと思いつつ、
本堂へ向かって境内を歩いていると
いつも手を合わせている場所が
目に止まりました。

かまくらのようになっている白い祠の中に
沢山の折り鶴やお人形が並べられている
地味な色目の寺院の中では
一際華やかなその場所。


子供の時から中学生に上がるまでは
どんな場所かも分からず
すべての場所に手を合わせるのが
礼儀だろうという思い込みから
拝んでいました。

今までは中の華やかなお供え物ばかりに
目がいっていましたが
その日は隣にかけてある看板の方に
目がいきました。

『水子供養』

私は遅くしてその場所が何であるかを知り
あえてなにもせず通りすぎ、
本堂にだけ手を合わせてから帰りました。

それ以来、初対面の子供に抱きつかれたり
甘えられたりすることがなくなり、
子供に好かれそうだよねと言われることも
なくなりました。


(サムネ写真:Pixabay)

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