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N神社での不思議な出来事④光の玉の波

※サムネ画像はイメージです
(2024年執筆)

今年の7月25日に、私が体験したお話です。

その日は仕事がお休みだったので
大好きなN神社へ遊びに行くことにしました。


車を停めて敷地に入ると、
自転車に乗った三人組の子供達が
やってきました。




小学校低学年ぐらいの子が二人と
おそらくそのお姉さんらしき子が
手水舎できゃっきゃと言いながら水で遊んでいて、なんとも微笑ましい雰囲気。

彼女達は楽しそうに笑いながら鳥居を
くぐっていきました。

私はそのあとを続くように手を清めて
鳥居をくぐったのですが、
そこで、違和感に気づきました。


子供達か入ったのはついさっきのこと。

それなのに、笑い声どころか、足音さえしないのです。

石畳が敷かれ、隙間は砂利が詰まっている敷地内なのに。


N神社はそんなに大きくはありません。
たった数秒で行ける範囲なんて限られています。

どこかで怪我でもしているんじゃないか
不安になって辺りを探しますが
三人の子供達の姿はなく、
私が砂利を踏みしめる音しかしません。




静かでいっそう神秘的でしたが、
少し不気味に感じたので
今日は長居せずに参拝して帰ろうと
小走りで本殿に向かいました。

その時です。

本殿の奥から勢いよく風が吹き
同時に前に見たのと同じような白い玉の
群れが、私に向かって波のように押し寄せて
きました。


ぶつかる!と思って両腕で顔を覆いましたが、
玉の群れは私の体に沿うように、空へと飛んでいったのです。


それからしばらく、目がちかちかとしていて
神社全体が白い光で覆われているかのように、
視界が眩しく、頭がぼんやりしていました。


とにかく、お参りしよう

それだけを考えて手を合わせて、
振り返り、目に飛び込んできた光景で
私は呆気にとられました。


ついさっきまで私以外誰もいなかったはずの境内。

なのに、眩しさはない普段通りの景色の中で
地域の人達が集まって談笑しており、
なんとも賑やかだったのです。


驚いて何も言えないでいると、
遠くから自転車を漕いでやってくる
三人の子供達の姿が見えました。


混乱した私はなんとか心を落ち着かせて
楽しげに話す人達のわきを通って
車に乗り、自宅へと帰りました。

しばらく、あの現象はなんだったんだろうと
思いましたが、光の玉の群れが美しかったので、綺麗なものが見れて良かったなと思っていました。


後日、同じ怪談好きで少し霊感がある
職場の後輩Hにこのことを話しました。

変な体験したけど、綺麗だったから良かった

そんな風に、笑って話したのですが、
対照的にHさんの表情が強ばっていったのです。

どうかしたのか訊ねると、Hさんは硬い表情でこう言ってきました。



「私にはそうにしか思えなかったです。
 なんにせよ、ご無事に戻られて
 良かったです。」

Hさんはそう続けて言いました。


あの子供達はなんだったのでしょうか。
どうして突然いなくなったのでしょうか。
白い光の玉の波の正体はなんだったのでしょうか。

Hさんが言うように、私だけがその場から
居なくなっていたのでしょうか。


それこそ、神のみぞ知るところなのかもしれません。




サムネ画像:ぱくたそ

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