【実話】N神社での不思議な出来事①風鈴の音
私にはお気に入りの神社があります。
その名も、N神社。
何か悩みがあるとき、そうでないときも
そちらに行ってはお参りをして
木漏れ日で日向ぼっこも出来てしまうような
そんな憩いの場です。
とても空気が清んでいて居心地がいい
地元で愛されている神社のひとつです。
よくそこに遊びに行くからか
不思議な体験を度々しておりまして
今回は、そのお話しを3つさせていただければと思います。
①風鈴の音
去年の8月頃だったと思います。
N神社では夏になりますと
神楽殿に沢山の風鈴を吊されて
境内に涼しげな音が響き渡ります。
恐らく、南部風鈴と呼ばれるものでしょうか。
外身が鋳物で出来ていて、微かな風でも
りりー…んと優しい音色を奏でます。
その日も、鳥居をくぐると風鈴の音が聞こえてきました。
風の量は、髪がふっとそよぐくらいなのですが
神楽殿に吊るされた風鈴の短冊は激しく揺れて、ベロを鋳物に打ち付けていました。
こんなに暑いけれど、なんだか涼しく感じるなぁ、と境内をぐるっと散歩して、木陰の下のベンチで涼みました。
その間、風鈴の音は止むことは
ありませんでした。
そろそろ帰ろうかと本殿に向かい、
手を合わせたその時でした。
それまでしていた風鈴の音が止みました。
違和感を覚えて、耳を澄ませますが
全く聞こえません。
振り返って目に飛び込んできた光景に驚きました。
木々の葉はそよぎ、風鈴の短冊は相変わらず揺れてベロが鋳物の部分に当たっているというのに、音が聞こえないのです。
石段をくだり、恐る恐る足を踏み出しますと
砂利を踏みしめる音だけがします。
すぐ側を通っているのに、揺れている風鈴からは全く音がしない。
戸惑いを感じつつ、鳥居をくぐった瞬間でした。
りーん
りりーん…
りりーんりりーんりりりーん
りりーん
一斉に風鈴が鳴り出しました。
そんなことがあったことを思い出し
今年は7月の頭にお参りに行きました。
例年通り風鈴が飾られていて、涼しい音を響かせています。
去年と同じように、本殿でお参りをした時でした。
振り返った瞬間に、風鈴が動きを止めて
一切の音が止んだのです。
そして、やはり、鳥居をくぐるとまた
一斉に風鈴が鳴り始めました。
この事を母に話すと
「遊安の声が聞きたかったのかもしれないね。」
と嬉しい解釈をしてくれました。
悪い意味ではないといいな、と願っています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?