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草木雑踏捕物帖2 白衣の吐く息に頬を濡らして 後
向かい風がびゅうと吹いて、コートの端がめくれ上がる。「道案内って、方角わかるのか!?」「僕にも分かりません。」柴田の絶望的な勘に従って山を下り続けると、とうとう荒れ果てて畑だか果樹園だか分からない荒地に着いた。全員びしょ濡れでほそい農道を下っていくと、作業じまいをしていたお婆さんが百鬼夜行のパレードでも見るような目で唖然としていた。
麓の国道にやっと出て、そのまま夜風の寒さに体を寄せ合い
向かい風がびゅうと吹いて、コートの端がめくれ上がる。「道案内って、方角わかるのか!?」「僕にも分かりません。」柴田の絶望的な勘に従って山を下り続けると、とうとう荒れ果てて畑だか果樹園だか分からない荒地に着いた。全員びしょ濡れでほそい農道を下っていくと、作業じまいをしていたお婆さんが百鬼夜行のパレードでも見るような目で唖然としていた。
麓の国道にやっと出て、そのまま夜風の寒さに体を寄せ合い