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【台湾】 アクセ工房

街路樹の葉が揺れている。木陰で子供達がアイスキャンディを舐めていた。投げ出されたままの自転車。店前の親父は暇そうにテレビを眺めていた。不意に込み上げる懐かしさ。それが何なのかは分からないまま曲がり角の先の情景を求めてつい歩き続けてしまう。商店街から住宅街。公園で休んで繁華街。そうしてまた次の知らない街へ、どこまででも歩いて行けそうな気がした。だが南中したばかりの太陽はもうすっかり沈み掛けている。そろそろ引き返すか。もう少し歩くか。ブティックのような店が見えた。そこを覗いたら帰ってもいい。誰にも声を掛けられないまま、また一日が終わろうとしていた。(shelter notebook 付録:習作の記憶より)


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