【インド】街角のキオスク

宿の向かいに小さな商店があった。昼に水を求めて寄った際は何とも思わなかったが、夜の灯りが点いた店にはちょっとした雰囲気があった。大きなボトル容器に詰められたクッキー。石鹸と殺鼠剤。吊るされたバナナ。帰宅途中の客を相手に男が売り物の中から顔を覗かせる。眼鏡にチェックのシャツ。無愛想だが一人一人を手際良く捌いている。店前には煙草を吹かす男達。撮影の提案は一蹴された。当然だ。商売の邪魔になる。半ば諦め掛けたが周囲の男たちが「教育物だってよ。やったらどうだ」と助け舟を出してくれる。「邪魔はしないから頼むよ」と何度か粘ると、仕方無いなという表情で頷いた。(shelter notebook 付録：習作の記憶より)