ポエム【季節の移ろいと貴方】
〽[林檎の花ほころび
川面にかすみたち
君なき里にも
春は忍びよりぬ]
小さな声で口ずさみたい季節です。
春 柔らかな光の季節
川の流れに陽射しが煌めく
川面に浮かぶ白い花
清純なオフェーリアのようだわ
夏 向日葵は太陽の長女
貴方の横顔に目を留める
端正さの中に優しさが溢れる
神がその面を彫るとき
鑿《のみ》の手元が狂ったのか
完璧さに影を落とす頬の線
それは魅力的なスパイスとなり
出逢った人を魅了する
秋 移り行く季節の儘に
緑の葉を残しつ
黄色から紅色へのグラデーション
彩り豊かに川面に映っていたわ
冬 凍りつくような寒さ
枯れ葉の下には
暖を共有する生き物たちが
静かに眠る
花達の蕾は新たな命を紡ぐため
恋人を守る如き萼片に抱かれる
屋内では暖炉に薪が組まれ
踊りながら薪に纏わり付く炎
暖かい!
貴方は私を抱き締め求めた
私の体から力が抜けて宙に浮く
緩やかさと激しさの愛の旋律を
長引かせ幸せな時は余韻を残して...
貴方は旅立って行った
春 冬に宿った新しい生命が
順調に育ちつつある喜び
時々、送られてくる便りに
例え幾年の四季が廻ろうとも
貴方を信じて待ち続ける
季節は巡り
沈丁花の香りから
初夏の鈴蘭の香りへと
夏のダリアの盛りも過ぎ
季節は秋の物悲しさを運び来る
ポインセチアが緑から
赤色に色付き始める晩秋
そして冬、
クリスマスイヴ
扉をノックする音が
サンタクロースじゃなく
貴方が立っていた
貴方は私を失望させない
幼子を抱く私に
愛の眼差しを注ぐ貴方
貴方によく似た幼子に
優しい眼差しを注ぐ貴方
最高のプレゼントは
「君と家族を守って生きて行こう」
この一言に.....
翌春、貴方が建てた家には
幸せが溢れていたわ
幼子の笑い声が響き
自然の豊かさの中で
幸せを感じながら
共に働き送る日々
貴方は私の愛する人
貴方は私に希望をもたらす
貴方の愛に包まれて
私は生きているわ
私の心に浮かぶ
過ぎ去りし様々な出来事
貴方に出会えた喜びも
予感もなく訪れる別れも
一葉の彩となり
心の壁に留まるであろう
朱夏の日々に書き留めた空想詩集の中から
自身の好きなポエムの一つです。
街中から離れた田園風景、憧れの素朴な生活を夢見たポエムです。
2020年に別のSNSに投稿した作品に手を加えて。
画像も私の好きなピサロとモネの絵画を含めて。
ベートーヴェンの交響曲【田園】を聴きながら。