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物語【サムソンと蜂蜜】

ハチミツは何世紀の頃から有ったのでしょう。
其の昔、昔、昔の大昔、旧約聖書の時代です。
当時イスラエル人はペリシテ人、現在のパレスチナに支配されていました。

※パレスチナは「ペリシテ人の土地」と言う意味です。


【サムソンの誕生】

サムソンが産まれた地、ダン族の遺跡

大昔のヘブライの地、現在のイスラエルに一人の男子が誕生しました。

ダン族の男マノアと不妊症の妻との間には子供が無かったのですが、マノアと妻の前に神の使いが現れ子供が誕生する事を告げました。

そして「生まれくる子供は誕生前より神に捧げられたもので有るから、次の事を守るように」其れは「ワインや強い酒を飲まないこと、汚れたものを一切食べないこと、そして生まれる子の髪の毛も髭も剃らない事」と告げられたのです。

産まれ落ちた男子が古代イスラエルの士師、怪力の持ち主として有名なサムソンでした。

【成長したサムソン、獅子の骨と蜜蜂】

獅子と格闘するサムソン

サムソンは成長して、ペリシテ人の女を妻に望み彼女が住まう街に向かう途中、目の前に現れたライオンを子羊が如くむんずと掴み両手で引き裂いたと伝えられています。

暫くして、再び其の地を通りかかる事が有り、以前殺したライオンが骨になっている事に気が付きました。其の骨には蜜蜂が巣を作り甘い蜜をため込んでいました。

「百獣の王獅子も骨に成れば蜜蜂の巣になるんだな~然し、蜂蜜とは何と甘いものか」と言ったかどうか。

其の後、何度もペリシテ人との諍いでペリシテ人を殺害したサムソンは、ある時、ユダヤ人の裏切りでペリシテ人に引き渡され縛られ連行されましたが、途中で主の霊が降ると縄が切れ縄目が落ち、サムソンは驢馬のあごの骨をふるってペリシテ人1000人を打ち殺しました。

驢馬の顎の骨を振るいペリシテ人を打ち殺したサムソン

サムソンは二十年間、士師としてイスラエルを統治しました。

※当時、イスラエルに主導者(王)は居らず5人の士師が統治していた。

【デリラの裏切り】

グエルチーノの油彩画[サムソンとデリラ]

その後、サムソンはソレクの谷に住むペリシテ人の女デリラを愛するようになりました。

ペリシテ人はデリラを利用してサムソンの力の秘密を探ろうとしましたが、サムソンは謎掛けをして答えが当たっても嘘の秘密を告げた。

何度も騙されたデリラは「今度こそ本当の事を教えてください」と言うと
サムソンも最後の謎掛けをしました。
「最も強き動物は何か。又、何よりも甘い物は何か」
「これが判れば秘密を教えて遣ろう」と。

デリラは、謎掛けの答えを偶然から知り「答えはライオンと蜂蜜でしょう」と答えて「貴男の力の秘密を教えてくださいな」と甘く優しく囁くとサムソンも仕方なく
「此れは誰にも言うなよ。力の秘密は髪の毛と髭を剃らない事だ」と話してしまったのです。

あ~ぁ! 怪力のサムソンも美女には弱かった。力どころか骨までも~~~

デリラはサムソンと甘い時を過ごした後、アルコールも入ってグッスリ眠っているサムソンの頭髪と髭を剃り落としてしまい力を失ったところで、ペリシテ人に引き渡しました。
サムソンは両眼をえぐり出されてガザの牢で粉を挽かされる労役をさせられました。

【サムソンの最期】

ダゴンの神殿を破壊するサムソン

数年の時が経ち、ある日ペリシテ人は集まって神ダゴンに感謝し、牢屋からサムソンを引き出し見世物にして嘲り笑い者にしていました。

然し、数年の間にサムソンの髪も髭も伸び目は見えませんが、元の怪力が戻っていたのです。其れに気が付かぬペリシテ人。

神殿の屋根には3000人程の見物人がいました。
サムソンは神に祈り「わたしはペリシテ人と共に死にます」と言い、中央の二本の支柱に両腕を掛け渾身の力で揺さぶると建物は根本から崩れ落ちました。
建物の下敷きになりサムソンは多くのペリシテ人を道連れにして最期を迎えたのです。
このとき道連れにしたペリシテ人はそれまでサムソンが殺した人数の中で最も多かったと言います。

サン=サーンスのオペラ『サムソンとデリラ』(Samson et Dalila)の中のデリラのアリア

アリア「あなたの声に私の心は開く」対訳になっております。

【後書き】

この様に、イスラエルとパレスチナの間では紀元前からの問題が延々と続いて居るのです。現在の紛争も一朝一夕で解決出来るものでは有りませんね。

産まれる国によって様々な状況が変わってきます。
長きに渡り占領されて奴隷の如く働かされて生きて来た人達の事を思うと日本人に産まれて良かったと表面的には思います。

さて、日本も本当は支配されて来たのでは無かったのでしょうか。
世の中の裏表、見せ掛けの平和の裏側は、未だ見えないようです。

甘い蜂蜜も小さな蜜蜂がせっせと集めて、本当は自分達の為に集めて来たものを人間様が頂いて居るのです。

蜜蜂も西洋蜜蜂は大人しく天敵のスズメバチに襲われると一たまりもなく殺されてしまいます。甘い裏には厳しい世界が有りますね。

物語は、父が所蔵しておりました子供向けの旧約聖書物語から記憶を辿りながら検索情報も織り交ぜての創作です。獅子と蜂蜜とサムソンの繋がりで、記憶違いも御座います。その点は御容赦くださいませ。

最後まで御付き合い有り難う御座いました。