俳句【邯鄲】と【鉦叩き】
🖋邯鄲や色無き風を彩る音
🖋邯鄲の鳴き声近く星遠く
🖋邯鄲や栄枯盛衰吾知らず
江戸末期の虫譜という昆虫図鑑に「邯鄲(かんたん)ぎす」として記されたのが最初だと申します。
万葉のころから詩歌に詠われてきたコオロギやキリギリスと比べ日本での歴史は思いの外新しく、この「邯鄲」という漢字は,人生の栄枯盛衰の儚さを説いた「邯鄲の枕」あるいは「邯鄲の夢」として知られる中国の有名な故事から取られたそうです。
体長14㎜から18㎜の小さな身体で翡翠細工のように透き通った淡緑色の美しい羽根を持っている事と、大きな葉の切れ目から顔を出して鳴くことで音を増幅させて遠くまで響かせる事から人生の栄枯盛衰の儚さを感じさせたのでしょうか。
私には、やや高めに聴こえる「リュリュリュリュリュリュ」と言う長~~~い音色は秋の夜を一際、美しく演出してくれるように思います。
世の中の音が静まった夜中に目覚めた時、
開け放った窓から聴こえてくる邯鄲の鳴き声は鮮明で
美しく何時までも聴き入ってしまう程魅力があります。
動画は自然の鳴き声に最も近いように思いますが
本物に勝るものは有りませんね。
【鉦叩き】
🖊️鉦叩き遠く近くに寝落ちする
🖊️夕刻の忙しき時に鉦叩き
秋の虫の中でも余り目立たなく10mm前後の小さな昆虫が居ります。
「鉦叩き」と申します。
雄は、背中に小さな羽根が有りますが雌は羽根も無く、
ごく目立たない紙魚(しみ)と間違えそうな色合いをしています。
彼等も、樹木性の昆虫なので、基本的に樹木が多くあるところで見られるのですが、樹木の樹皮の間や垣根の石の間の少し湿った所でも生息しているようです。
秋の夜に、独り静かに読書などに耽っている時に
部屋の隅から微かに金属的な「チッチッチッチッ」と言うような音が
聞こえてきます。👇
序に童謡[虫の声]の歌詞から5種類の虫の姿と声
あれ 松虫が鳴いている
チンチロチンチロ チンチロリン
あれ 鈴虫も鳴き出した
リンリンリンリン リーンリン
秋の夜長を 鳴き通す
ああ 面白い虫のこえ
キリキリキリキリ 蟋蟀や
ガチャガチャガチャガチャ 轡虫
後から馬追い おいついて
チョンチョンチョンチョン スイッチョン
秋の夜長を 鳴き通す
ああ 面白い虫のこえ
秋の虫に因んだ投稿、
最後まで御付き合い有り難う御座いました。