あの人

あの人は言った。
「恋人をつくる一番良いときは、自分が一人でも大丈夫と思えるときだよ。」
私は、一人で大丈夫じゃないときに、支えてほしかった。

あの人は言った。
「いわゆる悩み事は、二つに分けられる。一つは手段や策を講じて自分で解決できること、もう一つはどうにもできないこと。解決できることに全力を注いで、どうにもできないことはなにもしなければ、悩むことはないよ。」
私は、どうにもできないことをどうにかせずにはいられなかった。

あの人は言った。
「人間関係はイベントだよ。誰かと一緒にいるのは、ハロウィンやクリスマスと一緒。非日常で、パーティーをすること、全力で楽しむこと。日常は常に一人。だから、一人で生きていけるようになってね」
私は、あなたと日常を分かち合いたかった。

あの子と三年間積み上げたものを全部壊して叶えた恋は、二か月で終わった。
私の大学生活は、何だったのだろう。