反転
ある出来事で、世界のすべてがひっくり返ってしまうことがある。
その後の人生が決まってしまうことがある。
あの日から、見えている世界が180度変わってしまった。
あの出来事の前と後で、見える景色が決定的に変わってしまった。
もう私は、昔見ていた景色を見ることができない。
元いた場所にもどることができない。
この場所で、この景色を見続ける人生なのだ、と思う。
人と別れることがこんなにつらいとは思わなかった。
時間がたっても、こんなに鮮烈な痛みを発揮するとは思わなかった。
ぜんぜん色あせない、これができたらな、本当ならできたのにな、
自分があんなことさえしなければ確かにあったはずの未来を思うことは、
むしろ時間がたつほどに積み重なっていく。
突然襲ってくる後悔と、自己嫌悪と、胸の痛みは、このさきもずっと続くのだろうか。
世の中の人は、こんな痛みをどう乗り越えて忘れているのだろう。
これから人と別れるたびに、こんな思いをするのだろうか
怖い。痛い思いはしたくない。痛みは、何をしても消えない。
この場所で、何かを残すことができたら、この場所にいることを肯定できるのかもしれない。あの日から感じ続けている後悔の痛みと苦しみが、必然であったと認めることができるかもしれない。自分を許すことができるかもしれない。
だから、この場所で見たこと、感じたことを文章にすることにした。