垣谷美雨さんの小説
<シネマでTOLK&本deコミュニケーション 28>
お盆は映画三昧&読書三昧の3日間を過ごしたと前回の<シネマでTOLK>で語った。
読書三昧は、辻善之助著『皇室と日本精神』、田中英道著『「日本」とは何か「日本人」とは何か』、『向田邦子ベスト・エッセイ』、そして久しぶりに小説を読んだ。垣谷美雨さんの『代理母、はじめました』(BOOKOFFで買った文庫本)。
垣谷美雨さんんという作家はご存知?
私は昨年『ニュータウンは黄昏れて』という小説を読むまでは知らなかった。映画化された『老後の資金がありません』や『夫の墓には入りません』という作品はご存知なのでは?
いま社会で問題になっていることを取り上げて、深く易しく具体的に書いている。
社会で問題になっていることを取り上げると言っても、ちょっと小難しい社会派小説というのでもない(小難しい書き方はしていないが彼女の作品も社会派小説?)。彼女のファンになったのは、面白く楽しく読ませる筆致力。2冊とも一気読みした。
社会の問題提起や情報提供や個人的意見・提案だけなら、おもしろい読み物を求める若者や高齢者は楽しく頁がめくれないかもしれない。
読者を楽しませるということも垣谷さんは充分意識しているのだろう。タイトルを見て興味を持ってもらうということも十二分に計算しているようである。
さて『代理母、はじめました』は、自分に代わって他人に赤ちゃんを産んでもらう代理出産の物語。
わたしも昔、貧乏な娘がお金と自分を構ってくれる家族のような存在の人を求めて、代理出参をするという物語を書きたいと思ったことがある。
結局書かなかったが、やはりプロの作家は違う。いろいろな文献から調査し研究し、深ーい小説を書いている。私はいつもちょっと思いつくだけの浅い内容。専門的な内容も医師の体験があるのだろうかと思うほどしっかり書いている。
代理出産の実態が把握できると同時に、楽しく面白く読み進めることができた。ほかの作品も読みたい。