ぶらんこ
台風のためお休み続きで退屈している、のんきなとある女子中学生と、海辺のドライブに出かけた。
いつもの海の近くの、車も人もあまり見かけないような道の途中に、とある女子中学生が、車窓からブランコのある公園を見つけた。
去年の夏とは違って中学生になった、とある女子中学生。ほとんど冗談で
「行く?」
と、訊いてみたら、なんと、
「そうする~😊?」
と、行きたそうな雰囲気。まあ、お珍しい。
車を止めて、行ってみる。
だあれもいない不思議な公園。おぼろげに、わたしの小さい頃を思い出すような公園。
なんだろう??迷路?
さっさと入り込んでいく女子中学生を追って入る頃には、もう女子中学生は抜けている。
「これ、どうやって行くんかねぇ??」
と、もう、次なるアーチ橋のような遊具を眺めているとある女子中学生。
「適当。」
と、答えて、登って反対側から降りるわたし。
どうやってもなにも、そんなの「適当」以外にないですよね?
自分も乗り越えて、満足げなとある女子中学生。いよいよ、一番好きなブランコに乗る。
「どっちが高く漕げるか、やってみる?」
と、とある女子中学生。
「いや、いいです。」
と、高いところは苦手なわたし。
(ちょっと、ちょっと、そんなに漕いで大丈夫??)
と、不安になりつつも、ぐんぐん漕いでいくとある女子中学生の背中を見ている。
ときどき振り返っては、ゆらゆら小さく漕いでいるわたしを、うれしそうに蔑むとある女子中学生。
今にも空に飛び出しそうなとある女子中学生の、近づいては遠のいてを繰り返す、ブルーグレイのフード付きTシャツを見ていると、自分は漕がなくても、まるで自分が漕いでいるような錯覚を起こすから、自分の心がどれだけとある者たちによって、占領・充足させられているか、思い知らされてしまうのもこわい。