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がんばろうよ
2学期の学校らしく、古いほうの勤務校でも体育祭が近づいてきていて、職員室からそう近くもないグランドから、何やら大きな雄叫びが威勢よく聞こえてくる毎日です。本人たちは、「声出さないと先生に殺されます」(殺されませんよ。冗談ですよ。)とか言うわりに、みんなけっこう楽しそうに戯れながら跳ねながら、ぞろぞろとグランドへ走って行くのが、渡り廊下から見えます。
その一方で、勉強に関しては、学年にも慣れたし、先は長いし、やる気は低空飛行。中だるみと言われる毎日です。
少年たちが安心して中だるんでいる様子は、(程度にもよりますが、)個人的には微笑ましさを感じるのですが、ただ、今年の少年たちは、空飛ぶ風船のようにふわ~っとしていて、糸の端っこをちゃんと持っておかないと、帰ってこられなくなる人もいるんじゃないかと、ちょっと心配しています。
そんなある日、エアコンの効いた職員室で、新クール科の提出物をチェックしていました。
動画を見た授業のもので、単純にあらすじの括弧埋めをして感想を書いて提出!というものでした。簡単な課題です。1枚ずつめくってスタンプを押して……、その中の、ある少年の提出物を見て、動きが止まるわたし。
括弧にぜんぶ同じ言葉をくしゃくしゃっと書いて、名前も半分読めない。Oh……。です。新たなるソフテニ部前衛少年。彼は懐かしの生井金太郎くんの元ペアです。
どうも、心があちらの世界に半分行ってしまっているのか、ここ何回か、提出物は出ないままだったり、出してもそんな感じだったり。
う~ん、そろそろ声を掛けるべきか、掛けざるべきか。
そんなの、声を掛ければいいじゃない、ですが、ここでややこしいのが、わたしの日頃の印象です。やさしそう、というか、あまり怒らなさそうに見えるので、これはこれで意外にちょっと、不都合。
授業中、わたしがちょっと真顔で「◯◯くん、聞いてね。」とか、「◯◯くん、提出物が出てないよ。」とか言うと、クール科・素直科・おしゃれ科だと、先生が怒っとる!この人もこんなこと言うんだ!みたいにハッとした顔でみんながこっちを向くし、ワイルド科だと「おーーーー!!雲子先生が怒ったぞ!!」と逆に盛り上がられるし、今までの経験上、なんだか上手く行きません。
家でも、ちょっと疲れて気のなさそうな返事をすると、機嫌が悪いと見なされるので、いつも”のほほん”としていないといけなくて、けっこう大変なんですよ。難しい~
というわけで、解決策。
提出してくれたプリントに、親切なお返事メッセージを書いて返すことにしました。これなら、他の少年たちに影響を与えずに、または与えられずに、こちらの意図を伝えられます。
ただ、問題は、これだと本人がちゃんと読んでくれるかどうか、ということです。見もしないで、くしゃくしゃっと机に押し込んでしまう可能性大。どうかな~。ちゃんと目に入るかな~。まあ、今回ダメでも、10回ぐらい書き続ければ、いつかは目に入るかな。
と思いながら、翌日プリントを返しました。
列ごとに配って、自分のを取って後ろの人に回すという、学校っぽいありふれた方式……。6枚ずつをそれぞれの列の先頭の人に渡しました。
すると、……奇跡が!
列の前のほうのいたずら少年が、本人のところに届く前にそれを発見。
「おー、こいつ先生に警告されとる~😊😊」
と、勝手に見ている。
「えー、どれどれ、見せて見せて」
「お~😊😊…」
と、つぎつぎに見たがる人が現れて、なぜか盛り上がっている。それをいたずら少年がいちいちみんなに回して見せている。
そんなもの、見たい?
しょうがないな…、と放ったまま、背中を向けて黒板にチョークで書き始めながら、
「ちょっと心配になったのよ。」
と、つぶやいたら、「おまえ心配されとるぞ😊😊。先生に心配かけんな😊😊」と、からかい8割でみんなが言ってくれている。さすがにこれは、本人に伝わったでしょう。
振り返ると、ご本人は、なぜか照れてにたにたしながら、こっちは見ないで、下を向いている。
でも、その日の提出物はちゃんとしたものが出てきました。
さて、次回はどんな手で行こうかな~。😊😊