ヘルメット着用で事故増加
コロナ騒動で露呈したように、世の中で「知識人」と呼ばれる連中の大半が、そう呼ばれるだけの知性と教養、つまり「考える力」を有していないのは間違いありません。
これなんか、まさにその典型のような記事です。
こうした問題で、まず最初に考えなければいけないのは、
母集団
の存在です。
簡単に言うと、日本全国で自転車に乗っている人のヘルメット着用率はいかほどか、ということです。
母集団の9割がヘルメット未着用だった場合、たまたま事故に遭った人の非着用率が9割であっても当然です。何の不思議もありません。
母集団と子集団が同じ割合なのですから、事故とヘルメットの着用に何ら相関関係は見られないわけです。
街へ出て見回せば、恐らく母集団(全国民)の97、8%はヘルメットをかぶっていませんから、現実の着用率はせいぜい2~3%程度でしょう。
このとき、事故に遭った人の着用率が10%程度あるとすると、統計的には
ヘルメットをかぶると事故に遭う率が有意に高まる
という結論になってしまいます。
屁理屈や詭弁ではなく、統計からはそう読み取れるということです。
記者さんは、もう少し勉強したほうがよさそうです。
自転車事故の主な原因は、ヘルメット着用の有無ではありません。
・スピードの出し過ぎ
・高齢者などのふらつき
・一時停止無視
などです。
ここを改善しない限り、自転車事故は絶対に減りません。
というより、「ヘルメットの間違った安心感」が、逆にそうした「真の事故原因」を助長するおそれがあるのです。
「ヘルメットかぶっているから、少々スピードを出してもいい」「ふらついても平気」「一時停止も守らなくて大丈夫」と、ノーヘルだったときより注意がおろそかになりかねません。
このように「科学的に間違った対処策」は、問題を解決するどころか、逆に事態を悪化させてしまいます。
この問題については、心理学的にもっと深い考察ができますが、長くなるのでこの辺でやめておきます。