ウィルスが弱毒変異するメカニズム
最近になって、「第6波は過去のどの波よりも死者数が多い」という話が広まっている(広めようとしている?)ようですが、そのほとんどが別の病気で亡くなった人がたまたまPCR陽性になった「みなしコロナ死」と思われます。
この辺は、いわゆる「第6波」期間内の全死亡例を分析して、「超過死亡」を見なければ、はっきりわかりせん。全死者数が減っていたり、コロナ以外の病気(肺炎、がんなど)が不自然に減っていれば、それらを「コロナ死」に算入していると推定できます。
生物進化の必然として、変異の多いRNAウィルスは確実に弱毒化へ向かっていきます。
それが「自然淘汰」「自然選択」です。
簡単な思考実験です。
致死性の「アルファウィルス」なるものを想像してみてください。
このウィルスは極めて強毒で、
・感染すると翌日に発症
・発症すると2人の人間にうつす
・発症の翌日(感染2日後)には感染者が死亡
するとします。
1日目
Aさん感染(感染者計1名)
2日目
Aさん発症→B、Cさんにうつす(感染者計3名)
3日目
Aさん死亡
B、Cさん発症→D、EさんとF、Gさんにうつす(感染者計6名)
4日目
B、Cさん死亡
D、E、F、Gさん発症→H~Oさんにうつす(感染者計12名)
5日目
D、E、F、Gさん死亡
H~Oさん発症→(8×2=)16名にうつす(感染者系24名)
と、こんな具合になります。
ざっくり言うと、再生産数2.0で指数関数的に増加していきます。
次に、「アルファウィルス」の変異株である「ベータウィルス」を想像してください。
これは「弱毒変異型」で
・感染すると翌日に発症
・発症すると1日当たり2人にうつす
のは同じですが、「弱毒型」したため、感染者は
・発症の3日後(感染4日後)まで生存
するとします。
1日目
Aさん感染(感染者計1名)
2日目
Aさん発症→B、Cさんにうつす(感染者計3名)
3日目
A、B、Cさん発症→D~Iさんにうつす(感染者計9名)
4日目
A~Iさん発症→(9×2=)18名にうつす(感染者計27名)
5日目
Aさん死亡
残り26名が発症→(26×2=)52名にうつす(感染者計78名)
さて、アルファウィルスとベータウィルスの日ごとの感染者数を改めて比べると
1日目・・・アルファ1名/ベータ1名(差0)
2日目・・・アルファ3名/ベータ3名(差0)
3日目・・・アルファ6名/ベータ9名(差3)
4日目・・・アルファ12名/ベータ27名(差15)
5日目・・・アルファ24名/ベータ78名(差54)
時間を経るごとに、両者の差はどんどん開いていきます。
「強毒型」より「弱毒型」のほうが早く広がっていくことがわかります。
かくして、ベータウィルス(弱毒型)が先に市場を席巻し、ついにはアルファウィルス(強毒型)を駆逐するのです。
さらに「弱毒化」したガンマウィルスが登場すれば、たちまちベータウィルスを一掃してしまうでしょう。
つまり、「感染者(宿主)」を傷つけずに自由な行動を許す株だけが生き残っていく(選択される)ということ。
最後には、宿主と共存できる「最も温和な変異株」が世界を支配することになります。
かなり単純化してありますが、ともかくこれが「ウィルスが弱毒化する」自然淘汰・自然選択のメカニズムです。
私が「病原性の低いウィルスのほうが広まるのは数学の問題」と考えるのは、以上の理由によります。
「強毒化した(足の遅い)変異株が弱毒株を追い越す」ことなど、まかり間違って起こり得ません。