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社会学が流行らない
前回、
アイデンティティと感情労働の話で、
そこから少し、考察する時間を
自分なりに取りました。
アイデンティティは、エリクソンの
心理学用語で、日本では
学生運動の世代の心的状況を
説明するために使われました。
どうして彼らは反抗するのか、
という当時の良識ある大人たちの
疑問を言葉にしようと
色々な言葉が
流行ります。
シラケ世代、無気力、キレる若者。
構造は同じなのです。
自分たちは、もう立派な大人だが、
若者は考えてることが分からん。
つまり、
色々言おうが、
最近の若者は!
という繰り言にすぎません。
自分が理解出来ないことを、
未熟と切って捨てることを
普通老化と言います。
で、アイデンティティも、
そして感情労働も、
物事を分析するために
分かりやすく表象するための
記号で、
それは人の期待に沿うものです。
正しいかではないです
(なのでゲーム脳みたいな言葉も流行ります。
最近の若者はゲームばかりでダメだ、
と偉い学者が言ってほしいという欲望)
そういう風に考えると、
当たり前に受動してきた、
感情労働という概念に
不信も生まれます。
ホックシールドが管理される心で、
感情労働を取り上げたのは、1981年です。
それから、この概念は深められていないし、
便利なマジックワードとして
根付いてしまいました。
便利な言葉は、
大体世の中の実体を
描けてません。
感情労働の問題は、
すなわち、それが
メソッドになり、完全マニュアル化して、
それが私たちを苦しめている事です。
つまり、目的と関係がなくなってしまった。
どんな事でも速やかに出来るために、
感情労働が有効利用されると、
医療ミスを誤魔化すための、
患者に寄り添い説得する
ソーシャルワーカーみたいな、
変なものを生み出します。
患者のクレームを
上手にアクティングアウトするとか。
医療現場では重宝されるでしょう。
優秀な看護師により、医療システムが
瓦解してることを、
優しく患者を盲目にしてくれるのですから。
例えば、医師が若い女性患者に
セクハラをしていて、
それを看護師が、優しく話を
聞くことで、怒りの感情を
おさえるというのは、
きっと組織内で重宝される
感情労働でしょう。
そこまで考えて、
感情労働なんてフレームワーク
バカじゃねと気づきます。
良い感情労働と、悪い感情労働も。
倫理的な感情労働も、そうでないものもある。
管理の効率性という価値観にそぐわない
ものに、それを当てはめる悲劇、
それを見通す学問が
本来社会学の機能にある筈です。
日本では、貧困女子の
フィールドワークを
男性学者が行う事が平然と行われていますが、
それは同性の、女性学者が行う領域だと思うし、
男性学者がそれを行わなければいけない、
個人的な切断は何か?
と示すことが、1つの誠実だと考えます。
次回は、
人の苦しみは分かる必要があるか
でいきたいと思います。
暑くて死にそうです、本当に(°∀° )/