10月は、オペラシーズンの始まりでもあります。ミラノの「スカラ座」とならんで名高い、ヴェネツィアの歌劇場「La Fenice」は、サンマルコ広場から西に少し歩いた所にあります。この劇場は、ヴェネツィア共和国崩壊前夜の、1792年5月に開場されました。
ミラノの「スカラ座」は、1778年の落成、パリの「オペラ座」は、それより100年ほど前ですが、ヴェネツィアもオペラ先進都市のひとつで、1600年代前半からたくさんの歌劇場で、オペラを楽しむ土壌が出来ていました。
サン・モイゼ劇場(1639年開場)では、当時、サンマルコ寺院音楽長であったクラウディオ・モンテヴェルデのオペラが上演されています。また、オペラの作曲家としても有名な、ヴィヴァルディの多くの作品が、ここで初演されています。
「フェニーチェ劇場」は、1836年火災で消失し、1年後に再建されています。
1996年にも再び火災で全焼したのですが、これは修復工事中の出来事で、原因は作業の遅延違約金の支払いを求められていた電気工事業者による放火でした。(放火の是非は明白ですが、背景には大手ゼネコン業者による、中小への仕事の「丸投げ」という事情の中で、あらゆる不測の事態にも損はしないようになっている、大手建設会社による契約システムに問題があるのも事実です)
紆余曲折の末、2003年12月、リッカルド・ムーティー指揮によって再開しています。
ヴェルディの『リゴレット』『椿姫』も、この「フェニーチェ劇場」が初演でした。