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ポール・オースター 幽霊たち

1990年代頃、新刊、古書どちらも貪欲に買い集めては積んでおいた中にポール・オースターは3〜4冊混ざっていたと思うのだか、この本だけ読んだ気がする。
1000冊程あった蔵書は引っ越しのたびに減らし、手元にはもう30冊弱になった。
結局本を集め出す前から持っていたものと、同じ作家の原点となるものや関連作品だけを選定し、ポール・オースターは残していない。
この本は2025年の休暇用に買い直したものだ。読んだ事を忘れてしまいそうなので、レビューという形で読んだものを残す事にする。

幽霊たち
小説家は90%以上フィクションで架空のものを創り出す事が凄いと思うのだが、SFなどのSTORYに入り込みにくいものよりも日常に近い形で想像できる範囲の設定で展開していきつつ匂わせるだけ匂わせて、たどり着いた先でケムに巻かれてフェイドアウトされて、読者が1人取り残されてそこに佇む…というのが理想的だ。

狂気が薄く霧の様に全体を覆っている中で、一見常識ある人物の様にコーヒーを淹れて飲んだり、ドアをきちんとノックして訪問したり、会話をしたりする主人公。その内面は完全なる狂人。登場人物たちもまるで意味のない或いはそれぞれ特性のある色として存在し、なにか起こりそうだが、それが何かは全くわからない…
薄い本だし、あっという間に最後のページに辿り着く。私は えっ…   と電車の中で声を漏らした。その後にタイトルを思い出し あぁ。なるほど…   と心の中でつぶやいた。

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