教室運営で思うこと(11)ありのまま見せても平気
子どもたちと接するうえで大切にしていることの一つに「ありのままを見せる」があります。これは研修講師時代の経験から得たものです。今回はそのことを書こうと思います。
※この記事では教室運営について思うところを書いています。
人には”嘘”を見抜く高度なセンサーがある
研修講師時代、講義の途中途中に余談をいれて、緊張をほどく時間を織り交ぜます。どのような背景をもった受講者が集まっているかにもよりますが、基本1社向けの研修ですので所属であったり入社年度といった括りで受講者が集まっています。
新入社員で営業職向けの技術研修を担当するときは、お客様と相対するわけですから心理的な不安を取り除いてあげるために次のような話をしていました。
”人にはウソを見抜く高度なセンサーが備わっています。
それは大人でも、子どもでも一緒です。
だからお客様にはウソは通じないと思ってください。
わからないことはわからないでいい、
できないことはできないでいい、
それをカバーするために先輩や上司がいると思って
必要な時に相談してください。
決してお客様にウソをつかないようにしてください。”
正確に一言一句思い出して書いたわけではありませんが、こんな感じの話をしていました。
技術研修で専門用語がバンバン詰め込まれるような研修の中なので、このような「ご教訓」みたいな話でも、メモを取る手を休めていったん意識を別のものに向けさせる効果がありました。
自分に対する戒め
先の話は実のところ自分に対する戒めでもあります。
講師という立場で受講者の前に立てば、教える側ですから間違ったことは言えません。
だからといって、受講者からの質問に対して全て答えられない場合もあります。技術的な質問ならそこは自信をもって答えられますが、競合他社の製品の話だったり、施策だったり、営業での悩み事だったり、様々です。
神様ではありませんから全てに答えるなんてできません。
なので割り切って、知ったかぶりせずに、はっきりと
「わからない」「知らない」と言うようにしてました。
ただし、そう割り切るまで時間がかかりました。
研修講師という仕事を請け負いはじめた当初は、「わからない」「知らない」を連発するようなことがあれば、次の講師派遣の案件をもらえないかも知れないという恐怖がありました。講義が終わった後のアンケートで評価されますから、印象が悪ければアウトです。
最初のころは、あいまいな返答をすることもあったのですが、講義が終わったあとでモヤモヤを引きずることになります。
これが結構つらい。
「切られるならそれも仕方ない。自分の実力が無かったのだから潔くあきらめよう。」
と腹を括って、あいまいな言葉で逃げず、知らないものは知らない、わからないことはわからない、ありのままの自分を見せることにしました。
評価はたいして変わらない
「これで自分も楽になって受講者からの評価も跳ね上がって私は成功をつかみました。」
なんて言えれば、情報商材になるのでしょうけどw
現実はそうではありません。
受講者の評価点はさほど変わりませんでした。
何の効果もなかったのかというと、そういうわけでもありません。
受講者がモヤモヤした状態のまま講義を受け続けたり、
講義後モヤモヤした感じを引きずったまま教室を後にする
様子をみることが少なくなりました。
これも”0”とはいいません。
自分の心もモヤモヤを引きずることはなくなりましたが、
別に「勉強が足りない」と反省することが増えます。
差し引き”0”という感じです。
ただ講師派遣のご依頼をいただいた実績ベースでみると、取引先の最長プロジェクトの一つに初期からのメンバーとして長い間参加し、継続して案件をいただくことができましたし、他の案件でもお声がけいただけました。
結果オーライで失敗ではなかったと考えています。
振り返ってみれば、ありのままを見せても平気でした。
子供たちに対してもありのまま
冒頭で紹介したように「人にはウソを見抜く高度なセンサーが備わっている」と本気で思っています。
なので子供たちにも
知らないことは知らないといいますし、
わからないことはわからないと伝えます。
勘違いしたり、間違うこともあります。
その時は
「勘違いしてた。ゴメン。」
「間違ってた。ゴメン。」
と謝ります。
大人だって間違えることがあるんだって、ありのまま見せます。
先生の威厳なんてありません。
でも今まで、ありのまま見せても平気でしたから、
この先も平気だろうと思ってます。
余談:楽なのが一番だけど
子供たちに「教える」ということでプレッシャーもストレスも感じることはありません。
合わなくて退会する子がいても「来るもの拒まず、去る者追わず」です。
ありのままでいることに腹を括っているから平気です。
ただ経営者としては、そんなことは言ってられません。
死活問題ですから。
ポンコツ経営者としての安寧は
儲けをだして事業を安定的に持続する経営ができてこそ得られるもの。
結局なんらかのプレッシャーやストレスを抱えるように、
世の中はできているのかもしれません。
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