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ぼくんちのクワガタ|優しい気持ちの”その先”
”かわいそうだから自然に帰す”
ぼくは趣味でオオクワガタとニジイロクワガタを飼育しています。
子供たちだけでなくも大人も、自然の作り出した命に魅了され飼育を楽しむ人も多いと聞いています。ぼくもその中の一人です。
愛情をもって飼育していた昆虫でも、
その短い生涯を狭い飼育ケースで過ごすことをかわいそうに思い
「自然な環境で生きたほうが幸せなんじゃないか」
と野外に放す方もいらっしゃるでしょう。
飼育していた昆虫を野外に放す行為を「放虫」といいます。
優しい気持ちから「放虫」という行動をとることも理解できます。
でも放虫した結果、その虫とその虫の放たれた環境・生態系にどんな影響があるか一度考えてみませんか?
”放虫”が危険といわれる理由
じつは「放虫」は生態系にとって「危険な行為」といわれています。
もともと自然界にいた昆虫を自然に帰すことが危険といわれても、
何が危険なのかよくわからないですよね。
そこで、なぜ危険と考えられているかその理由をお話しします。
生態系への影響
自然の観察や自然を保護する活動に参加するとよく「生態系」という言葉を見聞きします。生態系は、自然の中で植物や動物が一緒に生きている場所です。生態系はバランスがとても大切で、ある生物が増えたり減ったりすると、バランスが崩れることがあります。
例えば、ぼくが飼っているクワガタムシを野外に放してしまうと、クワガタムシはそこで他の生物と競争をしてしまうかもしれません。
競争することで、元々そこに住んでいたほかのクワガタムシやカブトムシたちが困ってしまう、居場所がなくなってしまうことがあるのです。
交雑と遺伝子の崩壊:
「交雑」は、違う種類の生物が一緒に子供を作ることです。
ちょっと難しい言葉ですね。
例えば、犬と狼が一緒になって子犬を生むことができます。
これと同じようがクワガタムシたち昆虫の中でもおこります。
これが問題になることがあるんです。
飼っていたクワガタムシを野外に放すと、
野外に住んでいるクワガタムシと交配して卵を産んで、
その卵から孵った幼虫が成虫になって、
また交配してを繰り返すことがあります。
このような交配が続くと、元々いたクワガタムシたちの特徴が失われ、新しい種類のクワガタムシができてしまうことを意味します。それは、元々のクワガタムシがその土地・地域で生き残るために何万年もの時間をかけて受け継いできた遺伝子が崩れてしまったこと意味します。
このことを「遺伝子崩壊(いでんしほうかい)」といいます。
すると100年に1度とか1000年に1度という気候の変化を生き抜いた遺伝子が崩壊したため、同じような気象の変化が起こった時に耐えられずに死んでしまうことも考えられるのです。
種の保護と法的規制
自然にはたくさんの種類の植物や動物がいます。
しかし、中にはその生物たちの数が少なくなり、絶滅の危険に危機に瀕している種もあります。
例えば、可愛いパンダや力強いトラも絶滅の危険にさらされています。
昆虫の中にも絶滅の危険にさらされているものもいます。
そこで、これらのかけがえのない生物を守るために「種の保護」と呼ばれる取り組みが世界中で行われています。
その一環として、法律や規制があります。
法律や規制は、特に絶滅の危険が高い生物を守るためにつくられます。
この法律によって、その生物たちを捕まえたり、傷つけたり、売ったりすることが禁止されます。飼育することさえ禁止されることがあります。
放虫が危険な理由に「遺伝子崩壊」ということがありました。
遺伝子崩壊した後の虫さんの子孫だけが繁殖すれば、気象の変化のようなのきっかけで「絶滅」が心配される状況になるかもしれません。
やさしい気持ちから自然に帰してあげたのに、それが種の絶滅を導くなんて考えたくもないですね。
好きだから考えたいこと
クワガタムシ・カブトムシは、たくさんの人々に愛されている特別な昆虫です。クワガタムシ・カブトムシが好きだからこそ、自然の中のクワガタムシ・カブトムシたちの居場所も守ってあげることが大切です。
だって、誰でも自分のおうちに知らない人が突然やってきて、ごはんを食べたり、テレビを見たり、お風呂に入ってベッドで寝て、なんてされたら困りますよね。
放虫は、もともとその場所にいた虫にとって、突然知らない虫が家に入り込んで好き勝手されるのと同じ状況なんです。
遺伝子崩壊ということもありました。崩壊した遺伝子は簡単に戻りません。生き残れなければ受け継いでいくこともできません。
もともといた虫さんがかわいそうですよね。
優しい気持ちのその先
「放虫」は、放した虫にも、その場所にいる虫にも良いことはありません。
居場所を守るために競争して、負けてしまうとその場所から追い出されてしまいます。
放虫された虫が居場所を確保して、子孫を残していくと、その土地・地域で生きてきた虫が何万年もの時間をかけて受け継いできた遺伝子が崩れてしまい、絶滅する可能性が高まることだってあるのです。
「かわいそうだから自然に帰す」のは優しい気持ちの表れです。
そういう気持ちをもつことは「見えない宝」を持っていることだと思います。大人でもこどもでも大切にしたいですね。
でも「思うこと」と「取った行動」は、時に別の結果を招くことがあります。
それは「優しい気持ちにふさわしい行動」になっているでしょうか?
優しい気持ちの「その先」を一度考えてみませんか?
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
クワカブ飼育をお家で楽しむ大きなお友達、「さとっち」です。
趣味のクワカブ飼育の中で考えたこと、思ったことを書いています。
基本が三日坊主な性格なのでいつまで続けられるかわかりませんが、細々と記事を上げていこうと思います。
また”ほめられると伸びる子”なんで、応援してもらえるとうれしいです。