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『銀河ヒッチハイクガイド』の思い出④

 いつまで続けようかな…

 言うまでもなく、ヴォゴン人の詩は宇宙で3番目に恐ろしい詩である。二番目に恐ろしいのは、クリア星のアスゴート人の詩だ。アスゴートの詩聖、げろ吹きグランソスが自作の詩「ときは真夏の朝、わが脇の下に萌えいでし小さき緑のべたべたに寄す」を朗読したときには、聴衆のうち四人が内出血で絶命し、銀河系中部文芸盗用協会会長は自分の足を一本かみ切ってようやく助かった。
 そしてこの宇宙で一番恐ろしい詩は、イギリスはエセックス州グリーンブリジのボーラ・ナンシー・ミルストーン・ジェニングズの作品だったが、惑星・地球が破壊されたときに作者ともども消滅した。

『銀河ヒッチハイクガイド』より

どんな詩なんだか……

 フォードは小声で数をかぞえつづけた。コンピュータに対して、これ以上に強力な嫌がらせはまずないだろう。相手が人間であれば、耳もとで「血…… 血…… 血…… 血……」と言うようなものである。

『銀河ヒッチハイクガイド』より

しょうもないけど面白い!
今度Siriにやってみよう。

「あなたはいつ頃から宇宙を支配しているんです?」
「ああ、それは過去についての質問だね」
 ザーニウープは面食らって男を見た。こんな答えは予想もしていなかった。
「そうです」
「過去が虚構でないとどうしてわかるかね? 現在の肉体の感覚と精神状態との不一致を説明するための虚構かもしれない」
 ザーニウープは男をみつめた。濡れた服からは湯気が立ちはじめている。
「けれどあなたは、あらゆることに決断を下しているでしょう? 人の生死のこと、世界のこと、経済のこと、戦争のこと、つまり宇宙で起きているすべてのことについて」
「外の宇宙?」男は言った。「どの外だね?」
「あの外です!」ザーニウープはドアを指さした。
「あの外になにかあるとどうしてわかるのかね?」男は穏やかに尋ねた。「ドアは閉まっているのに」
 雨はいまも屋根を叩きつづけていた。小屋のなかは暖かい。
「しかし、外に宇宙があるのは知っているでしょう!」ザーニウープは声を張りあげた。
「責任は存在しないといって、責任逃れをしようったってそうはいかない!」
 宇宙の支配者は長いこと考え込んでいた。ザーニウープは怒りでわなわなと震えている。
「あんたは自分が事実だと思うことにとても自信があるんだね」支配者はしまいに口を開いた。「宇宙が存在するとしても、それを当然のことと決めつける人の言うことは信用できないとわたしは思う」
 ザーニウープはあいかわらず震えていたが、なにも言わなかった。
「わたしが決めるのはわたしの宇宙のことだけだよ」男は静かに言った。「わたしの宇宙とは、わたしの目が見、耳が聞くものだ。それ以外はみんな伝聞だ」
『宇宙の果てのレストラン』より

 ザーニウープが宇宙の支配者と会うシーン。ちなみに、こういう主観こそ現実みたいな考えをする人のことを、唯心論者っていうらしいね。

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