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リースに関する会計基準(案) Ⅲ. 会計処理_3.借手のリース

(1)リース開始日の使用権資産及びリース負債の計上額
31. 借手は、(  ①  )に、第32項に従い算定された額により(  ②  )を計上する。また、当該リース負債にリース開始日までに支払った借手のリース料及び付随費用を加算した額により使用権資産を計上する。

32. 借手は、リース負債の計上額を算定するにあたって、原則として、リース開始日において未払である借手のリース料からこれに含まれている(  ➂  )を控除し、現在価値により算定する方法による。

33. 借手のリース料は、借手が借手のリース期間中に原資産を使用する権利に関して行う貸手に対する支払であり、次の(1)から(5)の支払で構成される。
(1) 借手の固定リース料
(2) 指数又はレートに応じて決まる借手の(  ④  )
(3) 残価保証に係る(  ⑤  )(適用指針[設例11])
(4) 借手が行使することが(  ⑥  )の行使価額
(5) リースの解約に対する違約金の借手による支払額(借手のリース期間に借手による解約オプションの行使を反映している場合)

(2)利息相当額の各期への配分
34. 本会計基準第32項における利息相当額については、借手のリース期間にわたり、原則として、(  ⑦  )により配分する(適用指針[設例9-1])。

(3)使用権資産の償却

35. 契約上の諸条件に照らして原資産の所有権が借手に移転すると認められるリースに係る使用権資産の減価償却費は、(  ⑧  )の方法により算定する。この場合の耐用年数は、(  ⑨  )とし、残存価額は(  ⑩  )とする(適用指針[設例10])。

36. 契約上の諸条件に照らして原資産の所有権が借手に移転すると認められるリース以外のリースに係る使用権資産の減価償却費は、定額法等の減価償却方法の中から(  ⑪  )方法により算定し、原資産を自ら所有していたと仮定した場合に適用する減価償却方法と同一の方法により減価償却費を算定する必要はない。この場合、原則として、(  ⑫  )を耐用年数とし、残存価額を(  ⑬  )とする(適用指針[設例9-1])。


(4)リースの契約条件の変更

37. 借手は、リースの契約条件の変更が生じた場合、次のいずれかを行う。
(1) 変更前のリースとは(  ⑭  )としての会計処理
(2) リース負債の計上額の(  ⑮  )
ただし、リースの契約条件の変更に複数の要素がある場合、(  ⑯  )を行うことがある。


(5)リースの契約条件の変更を伴わないリース負債の見直し

38. 借手は、リースの契約条件の変更が生じていない場合で、次のいずれかに該当するときには、リース負債の計上額の見直しを行う。
(1) 借手の(  ⑰  )に変更がある場合(第39項及び第40項参照)
(2) 借手のリース期間に変更がなく借手の(  ⑱  )に変更がある場合

(借手のリース期間に変更がある場合)
39. 借手は、リースの契約条件の変更が生じていない場合で、次の(1)及び(2)の(  ⑲  )満たす重要な事象又は重要な状況が生じたときに、第29項の延長オプションを行使すること又は解約オプションを行使しないことが合理的に確実であるかどうかについて見直し、借手のリース期間を変更し、リース負債の計上額の見直しを行う。
(1) (  ⑳  )にあること
(2) 延長オプションを行使すること又は解約オプションを行使しないことが合理的に確実であるかどうかの借手の決定に影響を与えること

40. 借手は、リースの契約条件の変更が生じていない場合で、延長オプションの行使等により借手の解約不能期間に変更が生じたときに、借手の(  21  )を変更し、リース負債の計上額の見直しを行う。


解答↓






【解答】
① リース開始日
② リース負債
➂ 利息相当額の合理的な見積額
④ 変動リース料
⑤ 借手による支払見込額
⑥ 合理的に確実である購入オプション
⑦ 利息法
⑧ 原資産を自ら所有していたと仮定した場合に適用する減価償却方法と同一
⑨ 経済的使用可能予測期間
⑩ 合理的な見積額
⑪ 企業の実態に応じたものを選択適用した
⑫ 借手のリース期間
⑬ ゼロ
⑭ 独立したリース
⑮ 見直し
⑯ これらの両方
⑰ リース期間
⑱ リース料
⑲ いずれも
⑳ 借手の統制下
21 リース期間

【関連基準】
(リース会計基準(案) 結論の背景)
3.借手のリース
(1)借手における費用配分の基本的な考え方
BC34.  借手のリースの費用配分の方法として、IFRS第16号では、すべてのリースを借手に対する金融の提供と捉え使用権資産に係る減価償却費及びリース負債に係る金利費用を別個に認識する単一の会計処理モデル(以下「単一の会計処理モデル」という。)が採用されている。
 これに対して、Topic 842では、オペレーティング・リースの借手が取得する権利及び義務は、残存する資産に対する権利及びエクスポージャーを有さず、オペレーティング・リースを均等なリース料と引き換えにリース期間にわたって原資産に毎期均等にアクセスする経済的便益を享受するものと捉えて、従前と同様にファイナンス・リース(減価償却費と金利費用を別個に認識する。)とオペレーティング・リース(通常、均等な単一のリース費用を認識する。)に区分する2区分の会計処理モデル(以下「2区分の会計処理モデル」という。)が採用されている。
 この点、本会計基準では、借手のリースの費用配分の方法について、次のことを考慮し、IFRS第16号と同様に、リースがファイナンス・リースであるかオペレーティング・リースであるかにかかわらず、すべてのリースを金融の提供と捉え使用権資産に係る減価償却費及びリース負債に係る利息相当額を計上する単一の会計処理モデルによることとした。
(1)  2007年8月に当委員会とIASBとの間で、「会計基準のコンバージェンスの加速化に向けた取組みへの合意(東京合意)」が公表された後は、米国会計基準を参考としながらも、基本的にはIFRSと整合性を図ってきたこれまでの経緯を踏まえると、米国会計基準の考え方を採用した方がより我が国の実態に合うことが識別されない限り、基本的にはIFRSと整合性を図ることになるものと考えられること
(2)  IFRS任意適用企業を中心として、IFRS第16号と整合性を図るべきとの意見が多くなっていること
(3)  財務諸表利用者による分析においてリース費用を減価償却費と利息相当額に配分する損益計算書の調整が不要となる点及びリース負債を現在価値で計上することと整合的に損益計算書で利息相当額が計上される点で、単一の会計処理モデルの方が財務諸表利用者のニーズに適していると考えられること
(4)  本項第2段落に記載したオペレーティング・リースの経済実態との整合性の観点からは、単一の会計処理モデルと2区分の会計処理モデルのいずれが適切かについて、優劣はつけられないものと考えられること
(5) 単一の会計処理モデルを採用した場合と2区分の会計処理モデルを採用した場合を比較したとき、いずれの場合に適用上のコストが小さいかどうかについて、多様な意見が聞かれたこと

(2)リース開始日の使用権資産及びリース負債の計上額
BC35.  本会計基準では、借手のリース料について、IFRS第16号と同様に、借手が借手のリース期間中に原資産を使用する権利に関して貸手に対して行う次の支払としている(第33項参照)。
(1)  借手の固定リース料
(2)  指数又はレートに応じて決まる借手の変動リース料(BC36項からBC38項参照)
(3)  残価保証に係る借手による支払見込額(BC39項参照)
(4)  借手が行使することが合理的に確実である購入オプションの行使価額(BC40項参照)
(5)  リースの解約に対する違約金の借手による支払額(借手のリース期間に借手による解約オプションの行使を反映している場合)

BC36.  前項(2)の「指数又はレートに応じて決まる借手の変動リース料」について、借手の変動リース料には、将来の一定の指標に連動して支払額が変動するものがある。具体的には次のものが考えられる。
(1) 指数又はレートに応じて決まる借手の変動リース料(例えば、消費者物価指数の変動に連動するリース料)
(2) 原資産から得られる借手の業績に連動して支払額が変動するリース料(例えば、テナント等の原資産を利用することで得られた売上高の所定の割合を基礎とすると定めているようなリース料)
(3) 原資産の使用に連動して支払額が変動するリース料(例えば、原資産の使用量が所定の値を超えた場合に、追加のリース料が生じるようなリース料)

BC37.  前項(1)のリース料について、IFRS第16号においては、当該リース料は借手の将来の活動に左右されないものであり、将来におけるリース料の金額に不確実性があるとしても、借手はリース料を支払う義務を回避することができず、負債の定義を満たすことから、リース負債の計上額に含められている。本会計基準においても、国際的な会計基準との整合性も踏まえ、当該変動リース料をリース負債の計上額に含めることとした。
 前項(2)及び(3)のリース料について、IFRS第16号においては、借手の将来の活動を通じてリース料を支払う義務を回避することができることから、リース料の支払が要求される将来の事象が生じるまでは負債の定義を満たさないとの考え方もあるため、リース負債の計上額に含められていないとされている。本会計基準においても、これらのリース料が本来的に負債として認識すべきものかどうか国際的に十分なコンセンサスが得られていない状況にあること及び国際的な比較可能性の観点を考慮し、これらのリース料をリース負債の計上額に含めないこととした。

BC38.  また、借手の変動リース料には、形式上は一定の指標に連動して変動する可能性があるが実質的には支払が不可避である、又は、変動可能性が解消されて支払額が固定化されるものがある。これらのリース料の経済実態は借手の固定リース料と変わらないことから、借手の固定リース料と同様にリース負債の計上額に含めることとなる。これらのリース料として、例えば、リース開始日においては原資産の使用に連動するが、リース開始日後のある時点で変動可能性が解消され、残りのリース期間について支払が固定化されるようなリース料等が該当すると考えられる。

BC39.  本会計基準BC35項(3)の「残価保証に係る借手による支払見込額」について、企業会計基準適用指針第16号では、所有権移転外ファイナンス・リース取引のリース料において残価保証額を含めていたが、借手のリース料の定義を「借手が借手のリース期間中に原資産を使用する権利に関して行う貸手に対する支払」としてIFRS第16号と整合させている本会計基準では、借手が支払うと見込む金額を借手のリース料に含めている。審議の過程では、借手が支払見込額を見積ることが困難であるとの意見が聞かれたことから、見積りが困難である場合に残価保証額を用いることができるとする簡便的な取扱いを設けることを検討した。しかしながら、借手は一定の見積りを行った上で残価保証が付された契約を締結するため、借手による見積りが困難であるということはないのではないかとの意見や、簡便的な取扱いを適用した場合、借手のリース料の定義である「借手が借手のリース期間中に原資産を使用する権利に関して行う貸手に対する支払」から大きく乖離する可能性があるとの意見等も聞かれたため、簡便的な取扱いは設けないこととした。

BC40.  本会計基準BC35項(4)の「借手が行使することが合理的に確実である購入オプションの行使価額」について、企業会計基準適用指針第16号では、所有権移転ファイナンス・リース取引のリース料において、借手に対してリース契約上、リース期間終了後又はリース期間の中途で、名目的価額又はその行使時点の原資産の価額に比して著しく有利な価額で買い取る権利(以下合わせて「割安購入選択権」という。)が与えられている場合の行使価額を含めていた。この点、IFRS第16号では、購入オプションは実質的にリース期間を延長する最終的なオプションと考えられるため、借手のリース期間を延長するオプションと同じ方法でリース負債に含めるべきであると考えたとされている。したがって、借手のリース期間の定義をIFRS第16号と整合させている本会計基準においても、借手のリース期間の判断と整合的に、借手が行使することが合理的に確実である購入オプションの行使価額をリース負債に含めている

(3)使用権資産の償却
BC41.  本会計基準では、契約上の諸条件に照らして原資産の所有権が借手に移転すると認められるリースは、原資産の取得と同様と考えられるため、原資産を自ら所有していたと仮定した場合に適用する減価償却方法と同一の方法により減価償却費を算定することとしている(本会計基準第35項参照)。
 一方、契約上の諸条件に照らして原資産の所有権が借手に移転すると認められるリース以外のリースは、原資産の取得とは異なり原資産を使用できる期間がリース期間に限定されるという特徴があるため、原則として、借手のリース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとすることとしている(本会計基準第36項参照)。ただし、実態に応じて借手のリース期間より短い使用権資産の耐用年数により減価償却費を算定することを妨げるものではない
 また、償却方法については、原資産の取得とは異なる性質を有するため、企業の実態に応じ、原資産を自ら所有していたと仮定した場合に適用する減価償却方法と異なる償却方法を選択することができるとして、企業会計基準第13号の定めを踏襲している。

BC42.  企業会計基準適用指針第16号では、所有権移転外ファイナンス・リース取引について契約上に残価保証の取決めがある場合、原則として、当該残価保証額を残存価額としていたが、本会計基準では、残価保証に係る借手による支払見込額が借手のリース料を構成する(本会計基準第33項(3)参照)ため、残価保証額を残存価額とする取扱い廃止することとした。

(4)リースの契約条件の変更
BC43.  本会計基準では、借手は、リースの契約条件の変更が生じた場合、変更前のリースとは独立したリースとして会計処理を行う又はリース負債の計上額の見直しを行い、リースの契約条件の変更に複数の要素がある場合、これらの両方を行うことがあるとしている(第37項参照)。ここで、これらの両方を行うことがある場合の例としては、不動産の賃貸借契約において、独立価格であるリース料によりリースの対象となる面積を追加すると同時に、既存のリースの対象となる面積について契約期間を短縮する場合が考えられる。この場合、前者について独立したリースとして会計処理を行い、後者についてリース負債の計上額の見直しを行う。

(5)リースの契約条件の変更を伴わないリース負債の見直し
BC44.  本会計基準では、借手は、リースの契約条件の変更が生じていない場合で、借手のリース料に変更があるときには、リース負債の計上額の見直しを行うこととしている(第38項参照)。借手のリース料の変更には、借手のリース期間の変更を伴うものと、伴わないものとがある。

(借手のリース期間に変更がある場合)
BC45.  本会計基準では、借手は、リースの契約条件の変更が生じていない場合で、重要な事象又は重要な状況が生じたときに、現在の経済状況を反映して有用な情報を提供するために、延長オプションを行使すること又は解約オプションを行使しないことが合理的に確実であるかどうかについて見直し、借手のリース期間を変更し、リース負債の計上額の見直しを行うこととしている(第39項参照)。
 ここで、重要な事象又は重要な状況とは、借手の統制下にあり、かつ、延長オプションを行使すること又は解約オプションを行使しないことが合理的に確実であるかどうかの借手の決定に影響を与えるものである。借手の統制下にあるという要件を設けたのは、借手が市場動向による事象又は状況の変化に対応して、延長オプションを行使すること又は解約オプションを行使しないことが合理的に確実であるかどうかについて見直すことを要しないようにするためである。
 また、重要な事象又は重要な状況として、例えば、次のようなものが考えられる。
(1) リース開始日に予想されていなかった大幅な賃借設備の改良で、延長オプション、解約オプション又は購入オプションが行使可能となる時点で借手が重大な経済的利益を有すると見込まれるもの
(2) リース開始日に予想されていなかった原資産の大幅な改変
(3) 過去に決定した借手のリース期間の終了後の期間に係る原資産のサブリースの契約締結
(4) 延長オプションを行使すること又は解約オプションを行使しないことに直接的に関連する借手の事業上の決定(例えば、原資産と組み合わせて使用する資産のリースの延長の決定、原資産の代替となる資産の処分の決定、使用権資産を利用している事業単位の処分の決定)

BC46.  また、本会計基準では、借手は、リースの契約条件の変更が生じていない場合で、借手の解約不能期間に変更が生じたときに、借手のリース期間を変更し、リース負債の計上額の見直しを行うこととしている(第40項参照)。ここで、借手の解約不能期間は、例えば、過去に借手のリース期間の決定に含めていなかった延長オプションを借手が行使する場合等に変更が生じる。


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