その足、本当に臭いませんか
家に帰るとわたしは靴を脱ぎ、靴下やストッキングを脱ぎ、裸足になります。その足を夏場は水のシャワーで流したりして、それはとても心地よく、ふわぁーとなります。
家で靴を履かずに過ごせることは至福です。
靴を脱ぐ習慣を持つ国で生まれ育った幸運を、わたしは寿いでいる。
ただ。
ときどき外で、靴を脱いでいる人を見かけます。
脱いだ靴を地面に置き、靴下だけの状態で足をブラブラさせている人を。
それは例えば
自社の事務所内で
ラーメン屋さんで
ファミレスで
新幹線の車内で。
でも
取引先への訪問時とか
フレンチレストランとか
おしゃれカフェとか
空港のラウンジとか
そのような場所で見掛けたことはないのでたぶん、肩肘張らない、リラックスした、日常の続き、みたいな場所で人は、靴を脱ぎたくなるのでしょう。
わたしは「あ、あの人靴脱いでる!」と発見した瞬間、決まって思います。
…その足、本当に臭いませんか?
できればこの、割ときく鼻(=ヒト以上イヌ未満)が、その臭いを感知してしまう前に、わたしはこの場を離れたい。
臭いって、その元となる分子が鼻の奥の粘膜にくっつくことで感じるシステムなんですって。
だから臭いを感じるということは
あの人から発生した分子がわたしの粘膜に…
考えるだけで嫌。
店を出るか、でも本当はもうちょっとのんびりしたいし、席を移動することは可能だろうか。
いや、そんなことでお店の人に迷惑をかけるのは忍びない。
ただ、よしんばあの足が臭いを発していなかったとしても、他人の足から蒸発したあれこれが、この辺りを漂っていることを想像するだけでわたしは、わたしは…
すいません、お会計お願いします(敗北)。
へー別にそんなこと気にならない、繊細なんだね、という人になりたかった。
…ような気もするし、そういう人はたぶんその辺で靴を脱いでブラブラさせてわたしのような人を嫌な気持ちにさせることになると思うので、まあこれでよかったのかもしれないな、と思いながらも、どうも負けた感を拭えないわたしなのです。