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泥から守られた場所で泥にまみれた人を笑う奴に

普段から、できるだけ人に期待しないようにして日々を過ごしています。

期待しないでいると、仕事だしまあまあ当たり前だよなということがあったときも、やった!ありがとう!と喜べるからです。

メール返信してくれた!とか
催促しなくても請求書送ってくれた!とか

自分のも人のも、ハードルはできる限り下げておいた方が、幸せに暮らせます。

ただそれでも、どうしても憤ってしまう瞬間があります。

優位な立場にいる人が、今正に苦しんでいる人を嘲る声が聞こえてくるときです。

例えば、本社の社員が現場の職員について「あいつは無能だ」「もっとうまくやればいいのに」などと言っているとき。

閑職の役職者が、日々雑務に追われる社員のことを「要領が悪いんだよ」とか「俺なら定時で帰れるね」とか言っているとき。

そこからなら、笑えるでしょうね
と思います。

当事者が被っている泥、どんだけビチャビチャに跳ねても、そこまでは届きませんものね。
絶対的な安全が確保されている場所からなら、どうとでも言えますよね。

自分が笑われているわけでもないのに、底知れぬ怒りがふつふつと、沸いてくるのです。

現場経験がないと現場の苦しみは分からないとか
上の人に下っ端の気持ちは分からないとか

そういうことを言っているのではありません。

「お前も地面に這いつくばって泥を啜れ」と言っているのではない。

ただ、自分とその人とでは、立っている場所が全然違うことを認識してほしい。
自分は見晴らしのいい高台にいて、その人は低地で泥をかぶらざるを得ないことに、しっかり目を向けてほしい。

それから少しは、想像力を働かせてほしい。

現場では様々な方面からの主張に挟まれ、怒号が飛び交うこともあるのだから、それをまとめるのは、快適なオフィスの机上でデータばかりを扱っている自分とは種類の異なる困難があるだろうなとか、書類を手書きして封筒に入れ、先方へ持参していた俺たちの時代と、データをメール添付かチャットツールで送れる令和の時代とでは、求められる処理スピードも業務量も、負担のかかり方も違うだろうなとか。

尊重と、敬意。

色々な立場の人がごちゃ混ぜになっている社会において、それぞれ様々な圧力や理不尽の中で、右往左往しながら何とか頑張って、生きているんです。

自分と異なる立場や環境に置かれた人を尊重し、それぞれの状況を慮り敬意を払うこと。

それは、人としての基本じゃないか!と
わたしの心は今日も、滾るのです。

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