ずっと喋っていられる才能
すごいな、と思うのです。
電車でたまたま行き会った旧友
書類を届けに来た他部署の社員
わたしの母親
彼らは放っておくと、延々と喋っているのです。
子育てがいかに大変かについて
(うちに子どもはいない)
今、アニメで面白いものは何かについて
(アニメ、あんまり詳しくない)
職場の人間関係のもつれについて
(登場人物、全員知らない)
正直言ってしまうと、どうでもいい。
感想は「へぇ」しか無い。
わたしは、人の話を聞いていると自動的に疲労してしまうので、彼らのことが苦手でした。
例えるなら、聞いている間、HP(残り体力)が5秒ごとに1ずつ減っていくイメージです。
毒の沼に足を踏み入れてしまって1歩進める毎にダメージを受ける、程ではないけれど確実に少しずつレベルゲージが減っていっているな、という感覚。
何故そんな、毒にも薬にもならぬ(わたしにとっては少々毒になっている)話を絶え間なく垂れ流してくるのだろう、と不思議でした。
付き合うこちらの身にもなってほしい。
おかげでわたしは開放されて1人になったら、何も出来ずにバタンQ(死語)だよと。
ただ、よくよく考えてみると、わたしには彼らの持つ能力が無いのです。
取引先の方とランチをすることになった際
会社の懇親会でよく知らない人と隣になった際
ご近所の井戸端会議で立ち止まってしまった際
語弊があったら申し訳ない、と先に断っておきます。
ばかにしているわけではないのです。
本当です。
興味のない人と
興味のない話をし続けるなんて
わたしには無理だ。
思い起こせばわたしはいつも、受け身でした。
幼少期から母も兄も家でずっと喋っていましたし、友だちとの会話も相手の話に乗っかる形で受け答えしていました。
自分から働きかける努力をしてこなかったわたしは、人にどんな話を振ったら適切なのかが分からないのです。
そもそも相手に興味を持っていないから
どんなことに興味を示すかも分からない。
前回何を話したかも覚えていない。
覚えておこうともしていない。
(ひどい)
でも、彼らはそれを難なくこなしているのです。
いや、「難なく」ではないかもしれません。
話したい、なのか知りたい、なのかは分かりませんが、相手と話をする為に、自ら行動を起こしている。励んでいる。
人間社会で暮らしていくに当たって、誰も嫌な気持ちにならない当たり障りの無い話をし続けることが出来るのは、ひとつの大きな才能だと思います。
こういう人が輪のなかに1人いてくれると、間が持つ。
すごく、助かります。
ただ、尊敬する気持ちに嘘は無いのですが、わたしはちょっと、一緒にいるとHP減るので、接触は時々でお願いしたい気持ちなのは変わりありません。
これからも遠くから、すごいな、さすがだな、と見守っていきたい所存です。