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北国は何故か「帰ってきた」気がする

謎です。
七不思議に加えてもいいくらい、おかしな現象だと思います。

わたしは生まれも育ちも関東で、北の地に居を構えたことも長逗留したこともなく、わたしの知る限り、東北・北海道方面にルーツはありません。

どちらかと言うと、親戚は関西方面に多い。それなのに、飛行機や新幹線で大阪や兵庫に降り立つと「アウェイに足を踏み入れた!」と、わたしの体の細胞がざわつく気がするのです。

関西での、知らない子どもやおばちゃんに話し掛けられるような驚き(関東では絶対に出来ない面白体験)は嬉しくて楽しくて大好きなのですが、どうも「お邪魔している」感じが抜けません。
エスカレーター、右側に立つと落ち着かないし。

一方、東北や北海道に着くと
帰ってきたー
ただいまー
お帰りー
お腹空いたー
今日のご飯何ー
という感じが、確かにあるのです。

何故でしょう。

北に住む方々が持つ、気質に秘密があるのでしょうか。東北と北海道は、同じ「北日本」とは言え、全然違うのに。

東北の方々は、ある一定の距離を保ち、それ以上は立ち入って来ない人が多いような気がします。近付くときに特有のオズオズ感があるというか。
それでいて、こちらから話し掛けてみると温かみある言葉を返してくれることが多い。
本当に多い。
「春日のここ、空いてますよ」って自分の綿入れ半纏に引き入れて温めてくれるようなぬくもり。そのまま膝の上でみかん剥き始めたくなる安心感(比喩です)。

でも基本的に言葉数が少なく、去る者は追わない感じもします。「召し上がれ」が「け」一文字で表現できるほどの、文字数の少なさからそう感じるのでしょうか。

北海道は開拓の歴史があるからなのか、外から来た人を拒む雰囲気がありません。
インバウンドさんたちが密集していて異国感が漂っている地も多いのですが、大らかというか、迷惑に感じている空気をあまり感じないのです。

アイヌをルーツに持つ方以外は、自分もまた「外から来た人」だという意識があるからなのかもしれません。
北海道はいいところでしょう。いつでもおいで。水曜日なんかどうでしょうかねという懐の深さを感じます。

アイヌコタンやウポポイも好きです。
ユカㇻやウウェケペレを聞いていると、不思議と心が落ち着くのです。

***

ルーツの有無は、恐らく関係ないのでしょう。
わたしがたまたま、元々持つ性質と成長の過程で東北・北海道にハマる仕様に出来上がった、ということなのだと思います。

土地に限らず、人に感じることもありますよね。
血縁は一切無い人から、懐かしさや同胞感情を覚えるようなこと。

わたしが、生育家族である親兄弟よりも、血の繋がりがない上に生まれも育ちも全く違う夫と一緒にいる方が安心感を抱くのに近い現象なのかもしれません。

疲れたときは、北に行きたい。
今度休みが取れたら「今日のご飯何ー」という気分で、また東北・北海道を訪れたいと思います。

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